63話 敵か味方か!ナナの悲鳴とソニアの異変!
文字数 6,725文字
前回のあらすじ。
ライブ成功から数日後。
ジャックの元にやってきたのはクリスマスパーティとライブの時に居たアイザワ。
そしてワガママな少女、紗桜ゆめ。
アイザワは、メルーナからジャック達に次の試験のルールを説明し、試験の会場となる場所へ連れて行くよう頼まれたと言い、
ジャック達は試験の会場となった世界へ。
その世界とは、
2つのチームに分かれて魔物を倒す世界。
ソニアと出会い、安堵するも、
アイザワが読んだルールの「敵は自分達の中の誰か」と言う言葉とリリムに撃たれた事を思い出し、「自分と同じチームではないメンバーは敵となる」というルールがあるのではないかと疑うジャック。
果たして、目の前にいるソニアは自分と同じチームなのか?それとも敵のチームなのか?
確認する術がないジャックは、挙動不審になり、ソニアを警戒してしまう。
****
ジャック、さっきからおかしいぞ?そんなに震えてどうしたんだ?
ソニアを疑い、上手く喋れないジャック。
目の前にいるソニアが味方なら安心できるが、もし敵ならリリムと同じように撃ってくるかもしれない。
(ええと……誰が味方で誰が敵のチームか確かめる方法は……!?)
何言ってるんだ?
私達は同じチームだよ。撃つ必要なんてない。
どうしちゃったんだ?
ジャック、私を疑ってるのか?
小鳥もナナもリリムも、みんな味方さ。
そうに違いない。
そもそも、2つに分かれようと協力すればいいのに、なぜ対戦ゲームのように味方同士で戦わなければならないのか……
聞き慣れた言葉、対戦ゲーム。
ロールプレイングゲームには1人用のストーリーモードやコンピューターと対戦するモードもあれば、自由にキャラクターを選んで友達や家族と競い合うモードもある。
もし自分が他のプレイヤーと戦うゲームをするなら、
場所があってアイテムがあってルールがあって、他のプレイヤーを倒したら……
ジャックが「そうか、もしかして……」と言いかけたその瞬間、突然大きな音が鳴る。
それは……
そう、大きなクラクションと共に現れたのはトラック。
まず目に入ったのはライブで歌った「クレイジーピーポーずっこけマーチ」をイメージしたのか、"あの顔"でニッコリと笑うジャックとバルバトスの絵。
そして、無駄に眩しいLEDライトと、大きく書かれた「クレイジー上等」という赤い文字。
あまりの衝撃に口をあんぐりと開けるジャックに、どこからともなくやってきたトラックは、スーパーマーケットの前に大きく右折して急停止。
誰が乗ってるんだろう?
やっぱりバルバトスさんかなぁ?
いや待てよ、バルバトスさんでも敵のチームの可能性がある!どこかに隠れて……
すると、運転席のドアがゆっくりと開き、ジャックが抱いた疑問を"彼女"が答えるかのように説明。
情報その8。
魔物や相手のチームのメンバーを銃などで撃つとポイントが加算される。
情報その9。
最もポイントを稼いでボスを倒したチームには1億リエル相当の豪華アイテムが贈られる。
ジャックのチーム、
人呼んで!ワイルドニャーンのworld war!
ナナ・ニャルキット!
爆誕!!
そう、
ド派手なトラックに乗っていたのはナナ。
挙動不審の上に突然の事で驚いたジャックはナナに「早く!」と急かされるも、すぐに乗ろうとせず、あたふたしていると……
あれはナナじゃない。
いつも通りふざけているように見えるが、全く別物だ。
この世界の敵には変身する力があり、私達の姿になっている者がいる。
奴は偽者だ。行ってはいけない!
私と一緒に来い。
安全な所を見つけたんだ。疲れているようだし、休んだ方がいい。
ジャックの服の袖をこっそりと掴み、笑顔を見せるソニア。
しかし、いつまでも"もたもた"しているジャックにナナも黙ってはいない。
運転席から咆哮を上げたナナは、
足元からどう見てもディスカウントショップで売っているようなパーティーグッズのバズーカを取り出すとジャックとソニアに向けて発射。
しかし、
とてもパーティーグッズとは思えないほどの轟音と迫力にジャックは悲鳴を上げ、逃げ惑う。
するとさらに状況が変化を遂げる。
ジャックとソニアに当たる寸前、ソラが飛び出して……
なんと、子犬のように元気よく吠えると、バズーカの弾をパクッ。
カチッカチッと口の中で音を立て、ボン!と爆発。
ソラ君が……!
弾を食べて爆発しちゃったあああああ!?
まさか食べるなんて思わなかったぜ!
ハードボイルドな奴だな!気に入った!
喰らえ!!
名前が「犬星」だからって食べちゃダメだよ!
死んじゃ嫌だあああああああ!!
や〜い引っ掛かった引っ掛かった!
チョコはチョコでも砂糖を使ってない苦いチョコなんだよ!
ウチの邪魔してないで、とっととジャックを渡せ!
そんな事許すわけないじゃないか!
ジャック君はボクのものだ!
誰にも渡さないぞっ!
ジャック!
もう分かっているとは思うが、2人とも偽者だ!
私と一緒にすぐ逃げよう!
トラックに乗ったワイルド・ナナ。
苦いチョコを食べて力が出ないソラ。
2人を偽物だと言うソニア。
3人はお互いを「ジャックを奪う者」として見てしまったのか、武器を取る。
ナナはパーティーグッズのクラッカー。
ソラはナタデココの絵が描かれたバズーカ。
ソニアは銃。
「3、2、1!」とカウントダウンをする3人をジャックが止めるため、声を上げようとした……
その時。
ジャックの目の前に、突然全裸のバルバトスが飛び出してコマネチ。
例によって酷い顔を浮かべると、ジャックの周りに同じ顔をしたマークが出現。
※アイコンの服はそのままです。
クレイジーで全裸でコマネチで?
ダミ声でどこかで聞いた事ある言い方で?
変顔でバリアで無傷で?
ああもうどこからツッコんでいいのやら。
困惑するジャックだが、
バルバトスの出したバリアは本物。
半透明の酷い顔のマークのおかげでナナ、ソラ、ソニアの巻き添えを喰らう事なく無傷で済んだジャックは、ひとまず安心。
しかし?
ガッデム!
どうなってるんだ!ジャックがいないぞ!
※ガッデム……ちくしょう
3人の攻撃から身を守ったバルバトスは、クレイジーバリアを解除。
自分そっくりの酷い顔が消えた途端、ジャックを背負って高くジャンプ。
スーパーマーケットの1階から2階、3階、4階と、どんどん上に飛び、バルバトスが建物の最上階にあるセクシーな女性の絵が描かれた看板に手を触れると……
手が爆発し、少し遠くに見えるコンビニの方へ向かって大きくジャンプ。
というより……
なるほど!
手を爆発させて、その爆風を利用してジャンプして、遠くに逃げようって作戦ですね!
いやーこの高さならオレの住んでた町がよく見えるなぁ!
ちょうどあの辺に自分の家があって〜……
じゃなくて!
と、飛んでるううううううううううううう!??
じゃなくて!!
手が爆発したあああああああああああああ!??
悲報。
ジャック、爆発で吹っ飛んでいる事とバルバトスのとんでもない事態にパニック。
そしてそのまま空をピューッ。
なんで手が爆発したの!?
大丈夫なの!?
実は人間じゃないの!?
オレ達一体……
どこ行くのーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
あ、でも落ちたらいろいろ出ちゃうからやめときまーす!
あ、じゃあしっかり掴まっててちょーだい!今から足をオートタイプに切り替えてトランスフォームしてクレイジーダッシュずっこけマグナムを開始しまーす!
トラン……!
い、今聞こえちゃいけないようなワードが入ってたような……?トランスフォームする前にもう一度聞いてもいい?何を開始するって?
あれ?
えーと、もしかしてこの後〜……
「エンジンみたいな音が聞こえて緊急加速で空の旅へご招待!」なんて事にはならないよね〜?
それでは皆さま、
【繋ぐ繋がる異世界ファンタジー】ごちゃエピ!をご愛読いただき、誠にありがとうございました!
これからもお元気でお過ごし下さい!
また会う日まで!
バルバトスさんの足がエンジンみたいなやつに変形して大爆発して一気に加速して消えちゃった!?
NO way!
追いかけるしかねぇ!ゴラゴランロボに連絡しておこう!
※NO way……あり得ない
もう少しだったが仕方ない……
時雨、ジャックは西の方角に飛んで行った。
そこから見えるか?
いや、届くようなら追跡用のコネクトチョコを撃ってくれ。
後はレーダーで探せばすぐに見つかる。
わかりました♪
ではAポイント周辺で落ち合いましょう♪
・ ・ ・
バルバトスによって空を吹っ飛び、廃墟のどこかへ向かうジャック。
ジャックを追いかけるナナ、ソラ。
そして、廃墟のどこかにいる時雨と通信機で連絡を取り合うソニア。
ソニアは、通信機を服のポケットに入れると黒い紙を取り出し、空を見上げた。
****
丸い円形をした、高い建物。
その屋上。
廃墟となった五智谷市の街並みが180度見渡せる大きな部屋で、困り果てた男性とむすっとした表情で座るワガママな少女がいた。
リリムさん、魔物を10体倒し……
すごい、3400ポイント達成……!
リサさんは2500ポイント……!
もうすぐチームメンバー確認のポイントに到着、ライフポイントを回復するようです!
あり得ない!
ゴラゴランロボさん、無敵モードで無双中!
「ピース」は持っていませんが、ポイントはリリムさんとほぼ互角!!
悠哉君は今どこ?
ライフポイントは?討伐ポイントは?
専用武器は?ピースはどれくらい持ってるの!?
落ち着けると思う?
町の1番奥には"あいつ"がいるの!
もし悠哉君があそこに行ったら、すぐにゲームオーバーになっちゃう!
それなのに何で悠哉君がリーダーなの!?
そもそもリーダーじゃない奴は最初から武器持ってて戦えるけど、
リーダーになったら武器を持ってなくてチームのメンバーと合流しないと危ないんでしょう?
そんなのすぐにやられちゃう!
よろしいですか?
私達に与えられたこの世界の役割は、
ジャックさん達が生き残るための知識を紙に記し、ライフポイントやポイントのランキングの管理や電子掲示板への掲載すること。
つまり、私達に出来るのはジャックさん達のサポートのみ。
魔物に襲われる事はありませんが、逆に攻撃する事も出来ません。
じゃあ!
悠哉君がピンチになっても黙ってモニターを見てるしかないの!?
この世界に選ばれたのはジャックさん達だけではない。私達も選ばれたのです。
役割も、行動の制限も。
お嬢様。
ジャックさんはお嬢様にとってとても大切なお方。
だからといって1人だけ特別扱いをする事は出来ません。
グラスオーヴィのオーナーリサさんも大切ですし、あの犬星ソラさんも大切なのです。
ソラ!?
アイツは1番キライ!
悠哉君を奪おうとしてる!絶対許さないんだから!!
やれやれ……
ソラさん本人はすでに忘れている様子ですが、やはりお嬢様は"あの時"の事を……
犬星ソラ!!
ぜーーーーーったい!
許さないんだからあああああああああああああああああああ!!!
****
一方、五智谷駅前。
パンダの絵が描かれたラーメン屋の地下1階にあるバー。
重たいシャッターを開け、その奥にジャックはいた。
なんてったってバレンタインだからね!
友チョコだけど許してチョンマゲ!
情報1。
この世界の武器は全て射撃。弾はチョコでできているため、人体に影響はない。
じゃあ、リリムちゃんに撃たれたけど平気なのはチョコだったから!?
なーんだー!大丈夫なのかー!
じゃあ何で撃ってきたんだろー?
魔物や相手のチームのメンバーを銃などで撃つとポイントが加算される。
最もポイントを稼いでボスを倒したチームには1億リエル相当の豪華アイテムが贈られる。
あれ、それって確かナナちゃんが言ってたやつ……?
そうか、この世界は対戦ゲームみたいに敵を倒すとポイントが貰えて、1位になったら賞品が貰えるんだ!
じゃあリリムちゃんがオレを撃ってきたのはポイントを稼ぐためかー!
よし!改めてオレも挑戦するぞ!
要するにドッチボールと同じで、とにかく撃てばいいんだ!
優勝はオレが貰うぞー!
心配ならいらないですよ~!
チョコで撃たれても何ともないなら、とことん撃って撃って撃ちまくればいいじゃないですか!
そりゃびっくりはしたけど、ここからは反撃だ!
ゲームオーバー!?
そんなの聞いてないよ!どういう事なの!?
情報7。
この世界に入った者は1人につき3つのライフポイントがある。
わからない……!
もしかしたらペナルティがあるかもしれない!
とにかく、慎重に動いた方がいいよ!
みんなの言う事を簡単に信じるのもやめた方がいいね!
嘘をついているかもしれない!
まずは武器を渡すから、ここから――
ビービービー!
高速飛行物体を感知!
高速飛行物体を感知!
直ちに避難シテください!
魔物からすぐ逃げられるように、
武器とかレーダーとか緊急用のシェルターとか、町のいろんな所にこういう機械がいっぱいあるんだよ!
高速飛行物体の異常な熱エネルギーを感知!
バリアを突破されまシタ!
何かがものすごいスピードでここに向かっているんだよ!
どうしよう!どうすればどうすれば~!
ちょっと待って!
この世界の武器はチョコなんだよね!?
じゃあ異常な熱エネルギーを持ったチョコが飛んできてるって事!?そんな事あり得るの!?
いや、チョコにはいろんな種類があって……!
いやいや!それよりもどうしてここを狙って飛んでくるんだ~!?
このままじゃまずいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
****
一方、その遥か東……。
ピッピッと鳴るレーダーを見つめる少女が1人。
どういう事でしょうか?
私達しか知らないはずのジャックさんのいる所に、大きなチョコが飛んでいきますよ!
ジャックのライフが1になった所を狙う。
それよりも奴だ。
聞いてるのかにゃ!
ウチはジャッきゅんと同じチームにゃ!
ソニアっちと時雨っちは敵なのかにゃ!?
な、なんで黙ってるにゃ?
敵のチームなら敵のチームだよって言えばいいにゃ!
(ソニアっちも時雨っちもリリムっちもおかしいにゃ!どうなってるにゃ!?)
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