53話 鬼人再び!精霊の森からの脱出!
文字数 5,652文字
前回、
ウエノの冒険者ギルドで「アイテムを10個集める」というクエストを受けたジャック、ソニア、ノノ。
クエストのクリア条件であるアイテム「マナ」を手に入れるため、ノノの提案でウエノの北に位置する精霊の森へ。
その道中、ノノは自身の父親を「森の英雄」だと語る。
****
まさかの展開に「リア充滅べ!でもロマンチックだなー!」と謎のツンデレ発言をしながら羨ましがるジャック。
すると、ピアノの隣にある大きな木の影から1人の女性が現れた。
パァッと表情が明るくなり、現れた女性に向かって走り出すノノ。
ロゼッタと呼ばれた女性は優しく微笑むと、手を広げてノノを抱きしめ、ジャックとソニアに声をかける。
そう、ロゼッタに案内された先で会ったのは、以前ジャックがクラスタドームに行った時、ナナ、リサ、星乃未来の前に現れた全身がキラキラとした格好の男。
名は、アルバート・ラッセル。
有名なラッセル一族の1人で、
莫大な財産を持つ彼は、突然現れるも人気アイドルの星乃未来をナンパしようと行手を阻む。
しかし、突如現れた星乃未来の祖父、星乃紋三郎の刀に敗れ、「覚えてろよ!?」と捨てセリフを吐いて逃亡。
その後も再び現れるが……
アルバートの話を聞いてあげよう、とソニアに目で訴えるジャック。
するとアルバートは下を向き、ポツリと呟いた。
そして、その最初の仕事が「クラスタドームにいる帝国に危険を及ぼす異世界人を倒せ」。
つまり、
帝国にとっての危険人物のジャックがクラスタドームを襲いに来る。クラスタドームの中には瀕死の紅がいるからすぐに助けに行け、という意味だった。
ゴラゴランを想い、震えるアルバート。
しかしジャックは……
ジャックの優しさに、涙を流すアルバート。
帝国の幹部を辞める事を胸に決め、泣き叫ぶ。
ここがお前の田舎か……
フン。今すぐ焼き払ってやろうか?
アルバートの叫びと共に現れたのは紅。
炎を纏い、綺麗な花畑を焼く。
途端にジャック、ソニア、ノノ、ロゼッタの前に立ち、剣を構えるアルバート。
紅を睨みつけながら、花畑をチラチラと見る。
紅の言葉に動揺し、今まで思い出すのを拒んでいた記憶が浮かぶノノ。
それは、母親であるアメリアが少し寂しそうに笑い、ノノをそっと抱きしめて囁いた時の言葉。
その瞬間、ソニアは攻撃を仕掛ける。
しかし紅はすぐに避け、力を溜めると炎を纏い木に向かってフルパワーで殴る。
すると紅の手に乗った炎が周りの木に移り、あっという間に森が燃え始め、紅はさらに炎の玉を森に放ち……
叫ぶアルバート。
突然告げられた父親の死にショックを受け、気を失うノノ。
何も言わず、ノノをぎゅっと抱きしめるソニア。
炎に怯える精霊を心配するロゼッタ。
果たして、ジャック達は精霊達を守り、燃える森から無事に脱出できるのか?
つづく!