109話 覚悟を決めろ!ジャックVSソラ!
文字数 4,292文字
前回のあらすじ。
スピードラン前半戦は
村エリアとステージエリア。
ポーラやナナのセリフを聞いて「思い出したくない記憶」が何度もフラッシュバックして困惑するノーム。
ステージエリア最後のミッション、
スタンプラリーのラストスパートではナナの優しい行動と笑顔を見てノームが怒り出し、巨大化してナナとポーラを捕まえるけれど、またも記憶を思い出してしまい泣き出してしまう。
そこで明かされたのはノームの過去。
実はゴーストコースターの物語はノームの実話を再現したもの。
ポーラは「優しくても
そして前半戦ラストスパートは再開。
目の前にいるジャックとソラにタッチすれば終了。
ノームも感動して泣いてしまったナナも涙を拭いて、ゴール目前の一本道を走る!
湧き上がる歓声。たくさんの拍手。
ノームは大切な人の死を受け入れられず、自分を許せずに目を
けれどもう大丈夫。
ナナとポーラの優しさに救われて、たくさん泣いて、ようやく前を向く事ができた。
そして……
そう言ってソラの肩をポンと叩くヒビキ。
しかしソラは「ごめん」と一言呟くと、ヒビキの手を払った。
怒るヒビキに一言だけ喋り、ジャックの目の前に立つソラ。
表情はいつもと変わらず笑顔だけど声も言い方も違う。
なによりソラの体全体から
元は異世界人同士だけどこの世界で再会してからずっと一緒にいた事。
今までセクシャルレインボーにいた事。
これから先ジャックはグラーディアに行くけれど、ソラはヒビキと一緒にバルクピースアイランドに行く事。
「さよなら」がすぐそこまで来ている事。
ナナは焦りながらノームに話す。
ノーム、ポーラは察したけれど、いまいち察していないジャック。
するとソラは一歩下がると表情を変え、全力で拳を振りかぶる。
殴られる!と思ったジャックはすぐに目を閉じる。
その瞬間、大きな音と共にジャックの真下の地面がバキバキッと割れる。
そして静かにジャックを睨む……。
明らかに今までと違う。
あのオドオドしていたソラではなく、
食べ物の名前と聞き間違えるソラではなく、
空のように自由で無邪気なソラではない。
今ジャックの目の前に立っているのは、
別れの覚悟を決めた男の姿だ。
ソラの目に涙はない。
なぜなら今、涙を燃やしているからだ。
炎のように熱く燃え盛り、
けれど風に揺られれば消えてしまうだろう。
気が付けば手も足も震え、
されど表に出ないよう必死に堪えている。
いつも泣いてばかりで別れてしまった
これから先離れ離れになるジャックに心配されないように。
これがソラの男気、覚悟そのもの。
ソラの気持ちにようやく気付いたジャック。
ソラと握手すると、覚悟を決める。
****
スピードラン。後半戦。
ポーラが予定していたミッションを変更し、ジャックとソラが競うものが決定。
フランの協力でアトラクションエリアとお菓子エリアを繋ぐ巨大アスレチックが作られた。
アスレチックのスタートラインに立つジャックとソラ。
お互いにまっすぐ前を向いている。
その先にはトゲの付いた大きな棍棒と細い道や、天井に張り巡らされた網と池など、数々のトラップが待ち構えている。
合図と共に走り出す2人。
まず足の速さでリードするのはソラ。
まっすぐ道を進むと最初に見えるのはシーソーのような足場と池。
もちろんバランスを崩せば池に落ちてタイムロス。
しかしソラは体を鍛えているため脚力も高くバランス感覚も良い。
顔色ひとつ変えずにシーソーに乗ると、その先の飛び石コースへ走る。
ジャックも負けじとシーソーを突破。
ソラと同じ飛び石アスレチックへ。
この飛び石。
大小様々な形をした足場をジャンプして先へ進むアスレチックの定番。
丸や四角、三角、さらにはカボチャの頭など、足場が安定しない。
ジャック、助走をつけて勢いよくダッシュしてジャンプ。
丸、三角、丸、丸、四角、カボチャ!と跳ぶたびに声に出してテンポよく進む。
しかしソラはいつの間か姿を消してさらに先のアスレチックへ。
と、その瞬間。
視界に入らないソラにテンポがズレたのか、バランスを崩してしまう。
なんとかギリギリで落下回避。
ジャックはもう一度ジャンプして今度こそ飛び石をクリア。
ソラに追いつくため目つきが変わり、一気に走る。
****
それから数十分後。
大きな棍棒が横から迫ってくる中、細い道を歩く。
坂道を一気に下った勢いでほぼ90度の壁に掴まって登る。
そこまでは難しくないクライミング。
数々のアスレチックをなんとか突破したジャックはひと安心。
しかしその直後、目の前からものすごいスピードで飛んできたサッカーボールが顔面直撃。
その勢いで倒れるジャック。
その先には……
冷たい目つきでジャックを睨むソラ。
心配そうに見守るナナ、ヒビキ、ポーラ、ノーム。
次回、
ジャックとソラ最後の勝負。
そしてすぐそこまで迫っている別れの時。
その結末は!?