90話 セクシャルレインボー目前!ノノの望まぬ再会!
文字数 6,869文字
前回のあらすじ。
セクシャルレインボーの飛行場のオペレーターに向かって怒り出し、叫んだナナ。
2人のメルーナがいると思われて迎撃確定!絶体絶命のピンチ!と絶望するジャックとリリム。
ところが、ナナの声を聞いたのはメルーナの仲間。
彼女はラビッタ。
セクシャルレインボープロジェクトの「踊り」担当の少女。
事前にオズウェルから「もう1人のメルーナと話す」と知らされていた。
自己紹介を終えたラビッタは、
飛空艇の航路を変更すると、ゴラロボが乗っている飛行船の行き先がライブ会場で、セクシャルハーツのエネルギーを上げるために歌ってもらう事を説明。
いつかゴラロボがライブ会場に立って歌う事。
大勢の人を楽しませて喜んでもらう事。
それがナナの夢だった。
そのためにもまずはセクシャルレインボーへ行かなくてはならない。
次の出番はまたもやリリムなのか。
オズウェルはエールを送った。
飛空艇。甲板。
ミノルはたたかいたいけれど、スキルを使うわけにはいかない。
時雨も戦闘には向いていないので撃退は難しい。
状況は極めて困難であり、
ジャックを解放した時に悲鳴を上げた張本人、ノノも困惑していた。
それには訳があった。
そう。
炎の魔剣フレイムイーターと対になる剣。
その名もアクアトリック。
もともとはダンジョンの財宝として封印されていた魔剣で、その昔ソニアの父親のグラス・オーヴィとノノの父親グランが手にしたもの。
よほど特別な武器なのか、複数に分裂したジャスパーとリリックはノノを執拗に追いかけ、奪おうとしていた。
その瞬間、ジャスパーとリリックはノノの前からジャックの前に移動。
両手や口に黒い玉を持って飛びかかる。
そう。
ブラックハーツはセクシャルレインボーの地中に大きな塊があり、小さなかけらも存在する。
それは攻撃手段にもなって投げる事で相手にダメージを与える事ができる。
ノノは慌ててジャックの周りにバリアを出そうと水の魔法を唱える。
しかしその時、ジャックが手に持つ「あるもの」を見てしまう。
それは精霊の森でソニアに渡された剣。
フレイムイーター。
さらにジャックは目の前に飛びかかるジャスパーとリリックに驚かず、頭を狙ってフレイムイーターをひと振り。
すると……
ジャスパー、リリック。
全身が灰のようになって消滅。
さらにミノルは何かに気付く。
そう。
それはジャックの変わったところ。
以前、聖霊の森でソニアにフレイムイーターを渡されて戦った時に髪型が変わり、髪色も赤くなっていた。
しかし、今は普段通りの髪型のまま。
見た目は何も変わらない。
そう。
メルーナがジャックにかけた魔法「リライト」は体を休めてセクシャルハーツの中で身を守る力だけではない。
勇敢な心と臆病な心、その2つを
それが本当の力。
ただ、メルーナの恐れる「あの方」……
ライドウに裏切ったとわかってしまうのを恐れてバルバトスと共に先にセクシャルレインボーへ戻って行った。
ジャックのかけ声に笑顔で答える一同。
アイザワはジャックの笑顔を見て、感動していた。
おーーー!
一致団結するジャック達。
敵は複数のリリックとジャスパー。
いつの間にか10体に増え、その場に残るのが6体。
セクシャルレインボーに本体がいるのか、飛空艇の甲板から姿を消そうと黒い空間を出すのが1体。
そして、その空間の入り口を守ろうとしているのが3体。
まずは敵の逃げ道を封じるのが優先。
すぐに判断したジャックが空間の前に立つ3体のジャスパーに飛びかかる。
しかしその途端、ジャックの真横から枯れたような唸り声が聞こえてきて……?
トップバッターはリリム。
「キュート」と言う割になぜかダミ声でウィンク。
さらに手でハートを作ると、そんなポーズからは想像もつかないくらいの低い声で「ニガサナイ」と呟き、ホラー映画にでも出てきそうな顔になる。
そう。
リリムにもオズウェルと同じように死神検定の合格者のみに与えられる特殊能力がある。
それは金縛り。
目の前に迫る3体のジャスパーはもちろん、逃げ道の空間を作った1体のジャスパーの動きさえも一時停止。
リリムはまるで時間が止まったように動かなくなった合計4体のジャスパーを見ると、ゆっくりとピンク色の鎌を出してまさかのテヘペロポーズ。
続いてアイザワ。
二度三度使った技「緋桜拳」を使い、両手が緋色の光を帯びる。
するとその瞬間、大きな音と共に動きの止まった3体のジャスパーが真上で吹っ飛び、何かに当たったような音が鳴ると勢いよく真下に落下。
気が付けば甲板のいろいろな所に大きなヒビが入り、ジャスパーがぐったりと倒れている。
あまりの大きな音と衝撃に驚くジャック。
あっという間に3体のジャスパーが甲板に倒れてしまい、やっと姿を現したアイザワからの足は緋色の煙が上がっていた。
続けて攻撃を仕掛けるのは時雨。
時雨は指を自分の口に当てる。
するとピンクのハート型の塊が出現。
思い当たる節があるのか、何かに気付くオズウェル。
時雨はそのハートに「大きくなぁれ❤︎」と願う。
するとどうだろう。
2メートル、いや3メートルほどの大きさのハートに変身。
時雨が「行きますよ❤︎」と言ってニッコリと笑った途端、シャボン玉のように小さなハートがふわふわと空気中に浮かび出し……
オズウェルの予想は確信に変わる。
その直後、小さなハートが小さな矢になってジャスパーの体を貫く。
それも1本や2本ではない。
大きなハートから数十本、数百本の小さな矢が次々に出現。
その全てが雨のように降り注ぐ。
狙いはもちろん空間の入り口を守る1体のジャスパー。
怯えるジャック達を避けるように矢が旋回して確実に敵を貫く。
そう、貫いて貫いて貫きまくる。
結果、ジャスパーは「あががががががが」と断末魔の叫びを上げ、
しかしジャック達は矢がジャスパーに当たる容赦のない「ドドドドドドド」という音と断末魔に怯えてしまう始末。
そのイメージで間違いない。
ストライカーはおもしろいジョブでね、気弾を放つ場所は頭や手や目、体のいろんな所から放つ事ができるんだ。
もちろん武器が無くても気弾を出せるけど、人によって筒や文房具を使って戦う者もいる。
時雨がグラスオービィに来たまさかの理由に驚くジャック。
「でも普通、そりゃそうなるか……」と納得していると、今度はミノルが立ち上がる。
しかし。
なんと、遠く離れた位置に大きな島を発見。
飛行場や宮殿のような建物、クラスタドームのように大きなドーム状の建物が見える。
やっと島の全景が見えた事に喜ぶジャック達。
しかし。
なんと、ジャックが驚いているうちに残りの2体のジャスパーと2体のリリックがノノを狙い、取り囲まれる事態に。
ジャックがノノを見て気付いたもの。
それはノノが大事に持っていた魔剣、アクアトリック。
ライドウという名前を聞いて涙を流すノノ。
ノノもソニアと同じようにグラス、グラン、ライドウの3人がグラスオービィを復興させようとしていた事を知っていた。