22話 紅襲来!明かされたジャックの秘密!?
文字数 9,282文字
前回のあらすじ。
ライブ会場では、
グラリオとゴラゴランも捕獲対象にしようと言い出したリリックが、張本人グラリオとゴラゴランの2人技によってライブステージまで吹っ飛び再起不能に。
その一部始終を見たジャックは、ゴラゴランの「私が怖いか?」という問いに「怖くなんてありません。とってもかっこいいから!」と笑顔で答えた。
一方出口へ向かう通路では、
ナナ、リサの元にケバブが合流。
ケバブは、脱出の前にジャックを襲った事によるゴラゴランへのマイナスなイメージを持ってしまった客に、「ゴラゴランはテロリストから守ってくれる」と説明。
ナナ、リサは別行動をとるケバブとの再会の約束をして、理解してくれた客と共に出口へ向かう。
そしてコントロールルームでは、
セキュリティによって扉が閉まり、全員クラスタドームに閉じ込められる事態を防ぐため部屋にたどり着いたケバブに悲劇が訪れる。
鬼人として恐れられる帝国幹部、紅の襲来。
爆発し、炎に包まれるコントロールルーム。
炎の中、一撃で致命傷を受け倒れるケバブ。
そして、一度ジャックと出会った時の姿とは違い、何故か全身が黒く変わり、不気味に笑う男……。
その名は轟鬼。ジャックと同じ五智谷高校の生徒であり、紅、グラリオと同じゲノン帝国の幹部の少年。
彼は幸せそうに笑顔で肩を組むグラリオとゴラゴランを、ただ静かに見つめていた。
****
クラスタドーム。
3階通路。
ナナとリサは、大勢の客と共に大きな通路に到着。
トイレとロッカーもあるね。
近くに出口があるはずだけど、その前に2階に行かないといけないかも。
あたし達はライブ会場の3階からここまで来れたけど、2階からここに来る人もいるでしょ?その人達にも「出口はこっちだよん」って伝えないとね。
よし、じゃあ今いるお客さんを入り口の外まで連れて行ったら一緒に2階に行こっか!
するとその時、2階へ続く階段から大勢の人の声と少女の声が聞こえた。
ナナはかわいらしい天使のような声を聞くと、途端に声の主を察し、リサのように心が満たされ……
にゃっ!?ウチの尊いメーターが壊れちゃったにゃ!?
尊いメーターっていうのはよくわかんないけど、ナナちんのこの反応、もしかして……!?
やがてリサも声の主を察し、
2階からこちらに向かってやってくる大勢の人達を待つ。
その先頭には、異世界で大人気のアイドル、星乃未来の姿があった。
【星乃未来】
はじめまして!未来だよっ!
みんな大丈夫?ケガはない?
うわおっ!やっぱりそうだった!
ナナちん、大丈……夫じゃないねぇ……
眩しいにゃあ……。眩しくて何も見えないにゃあ……。ウチはどうすればいいにゃ〜?
俺もだ……!この日のためにリエル貯めて、やっとチケット買えたんだ……!それをあんな奴らに……!
そうにゃ!あいつらぜっっっっっっっったい許さんにゃ!!ウチのツメでギッタンギッタンにしてやるにゃ!
ニャルシーをナメるにゃあああああああ!!
えっと、ナナちゃんとリサさんだよね?
ニャルシー、初めて見たけどかわいいな♪
わお!ナナちんに大ダメージ!!
推しに名前知られてるなんて尊すぎるよ!まさかの展開だねぇ!!
あ〜大丈夫大丈夫!嬉しすぎて半分イッちゃってるだけだから!
ほら、「尊すぎてイキ地獄」っていうでしょ?
「クラスタドームを脅かすテロリストから守ってくれるヒーローの仲間や。お客さん連れて脱出してるから会ったら出口まで連れてってあげてくれ」って、ケバブさんから教えてもらったの!ジャック君の事も知ってるよ!
ケバブさん、いつもみんなの事考えてて、尊敬してます!
(あれ〜?らいちゃんにとって大事な人に会ったような気がするんだけど……誰だっけ……?)
にゃ?そういえばらいちゃん、一緒にいたはずの落ち武者はどうしたにゃ?
思い出した!そう!そうだよ落ち武者!!
落ち武者元気!?
なーんて冗談冗談!
らいちゃんっておじいちゃんいるでしょ?一緒じゃないの?
おじいちゃんなら、これから行く所で待っててくれてるよ!
ええとそれじゃあ、安全な道を通って脱出するよ!みんな着いてきて!
まさか、ここから出ただけでは安全とは言えないのかい?
今日は来てくれて本当にありがとう。
怖い思いをさせてごめんなさい。
今からみんなをお家に帰します。
このクラスタドームにはね、何かあった時のために町とか村にワープできる緊急用の魔法陣があるの。それを使ってみんなの住んでいる町までひとっ飛びすれば大丈夫、もう安心だよ。
それから……
今日のライブに来てくれたみんなのチケット代、全額お返しします!
それと、次のライブはお金はいりません!誰でも入場無料のフリーライブ、やるよ♪
もちろんです!
それじゃあ、あたしに着いてきて下さい!
するとその時、出口の外から全身金色の服で包まれた謎の男がやってきた。
男は未来を見ると、手品のようにバラの花束を出し、未来に渡す。
おぉ……なんて美しいんだ……!
君、この美しいボクのお嫁さんにならないかい?
あぁ失礼。まだ名を名乗ってなかったね。
あまりにも美しいから、見とれてしまったよ。はっはっはっは。
らいちゃんが美しいのは当たり前にゃ。
まずその服なんとかしてほしいんだけど。
あぁ、あぁ、うんうんそうだねぇ。
どうしてボクの服がこんなにも金色に輝いているのか、やっぱり気になるよねぇ?
うわー!言っちゃったー!
あたしも思ってたけどその服超ダサい眩しいんだよねー!つか誰ー?
よっし教えてあげよう!
ボクの名前はああああああああああああ!
【アルバート・ラッセル】
金が似合う男、アルバート・ラッセル!!!
本物の金が散りばめられたこの金の鎧が似合う男はボクしかいない!
なんてったってあのグラーディアのカジノを買い占めようと思ったくらいだからねぇ!
え?そんな事できるのって?
あぁできるとも!!お金ならいくらでもある!!なぜならそう、このボクだから!!!
さぁボクの名前を呼んでごらん?せーのっ!
わしの孫娘に何しとんじゃボケエエエエエエエエエエエ!!!
なんと、未来の声が聞こえたのか、紋三郎がアルバートめがけて飛び蹴りを仕掛け、アルバートはかっこ悪いポーズで吹っ飛び壁に激突。
でんぐり返しをしたようなポーズになりながら、紋三郎に向かって叫ぶ。
おい貴様!!痛いじゃないか!!
ボクが誰だかわかっているのか!?
わお!おじいちゃんブチギレてて口調がブッ壊れてるよ!!
落ち武者の飛び蹴りはどうにゃ?痛いかにゃ?
あ?オラ!!
なんて失礼な奴らなんだ!あり得ないぞ!
貴様、ラッセル一族を知らないのか!?気高き一族だぞ!?
あーーーっ!伏字入れたけどそれは痛い!
あたし女だからわかんないけど☆
くそ!ふざけるな!!
ボクにはお金がある!ボクはすごい!ボクは偉いんだぞ!!
こんな事が許されていいわけがない!!
もう怒ったぞ!ボクの黄金の剣で斬り捨ててくれる!!
紋三郎とナナに怒り、黄金に輝く剣を手に持つアルバート。
しかしその瞬間、紋三郎が「ぬおおおおおおお!」と叫びながら力を溜め……
なんと、刀でアルバートの黄金の剣を折ってしまった。
お、覚えてろよ!?貴様が異世界人というのはわかっているんだ!!
次こそ、ゲノン帝国の新幹部であるこのボクが、今度こそ斬り捨ててやる!!
よくわかんないけど、あれで一応幹部だったんだねぇ。
とてもそうは見えないけど。
さ、らいちゃん行こっ!出口!!
おじいちゃんがいれば安心だよ!
大丈夫じゃ。
それじゃ、お嬢ちゃんとボインちゃん、孫娘を頼んだぞ。
(……今、ライブ会場の方から音がしたのう……。
さて、未来の仲間達に加勢してやるか……。)
****
ライブ会場。
ゴラゴラン、グラリオは2人だけの力で残る敵を倒す事を決意し、ソニア、アモン、ジャックに呼びかけていた。
……以上だ。
ソニアちゃん、アモン君。ここは私達が引き受ける。君達はジャック君と共にケバブ殿を探してきてくれ。
もちろん、見つけたらすぐに脱出だ。
鬼ヶ崎連合というギルドには、ギルドメンバー1人でも欠けてはならないという掟があったはずだ。
さっき、2人の女の子と共に出口へ行ったのは君の仲間、つまりギルドメンバーだろう?
その仲間にはお客さんを逃がした後、2人の女の子と共にやる事がある。なんだと思う?
やる事……?
……わかったぞ。それなら、もう一度このライブ会場でオレと合流して敵を倒す――
出口で君を待ち、共にギルドハウスへ帰る事。
誰1人欠けずに、だ。
ちょっと待て。
確かに敵は1人倒した。
だが相手は帝国、どんな卑怯な手段をとるかわからないんだぞ。
たった2人でやるつもりか?
グラリオの言う通り、友達の元へ行ってやるんだ。
心配いらないさ。もう大丈夫だから。
君の優しさは知っている。
だが、奴らの目的は君自身なんだ。わかってくれるね?
アモン君、ソニアちゃんと一緒なら安心して出口まで行けるはずだ。
ジャック君、また会おう。必ずな。
(どうしよう……!このままじゃ、本当に2人に任せてただ逃げるだけになっちゃう……!あんなに優しくしてくれたグラリオさんに、初対面なのに優しくしてくれるゴラゴランさんに、オレは……!オレは何も……!!)
グラリオとゴラゴランに向かって、まるで頭を下げるように俯くジャック。
戦う勇気を出せない悔しさを感じ、両手の拳を強く握りしめる。
しかし、"その時"はすぐそこまで迫っていた。
タイムオーバー。
残念だったな?逃げるつもりだったんだろ?
ジャック……!
その瞬間、ソニアとアモンが武器を構え、紅の前に立つ。
悪いなねーちゃん。ジャックを渡すわけにはいかねぇんだわ。
……そうか。残念だ。
やっぱりヴェイルノートの言った事は正解だったようだな。
へぇ。おいグラリオ、ジャックはヴェイルノートに会いたいようだぞ?確か一度、ウメダで会ったんだよなぁ?
ヴェイルノートと会った日、何があったんだぁ?
グラリオ、教えてくれよ。あの時お前も一緒にいたんだろ?
なに?
グラリオ、どういう事だ?あのヴェイルノートに会ったのか?怪我はないのか?
ヴェイルノートがやってきて……全員無傷……ジャック君は……。
……!
ヴェイルノートは"試したかった"だけ。
本人はちっともわかってねぇようだが、こいつは特別なんだよ。今の状況がそうだろ?
フン。やっぱりって顔してるな。
喜ばないのは正解だ。これは良い事だが、場合によっちゃ自分の首を絞めることになる。
もうわかっただろ。
こいつはただの異世界人じゃねぇ。
特別なんだ。
ジャック、お前は大変だなぁ。
死ぬわ、知らない町で目覚めるわ、家にも帰れないわ、うんざりだっただろ?
それに、ジョブだのギルドだの冒険だのスキルだの帝国だの言われても困るし、どんどん知らない奴が会いに来る。
ほんとに訳わかんねぇ事ばっかだよなぁ?
へいへい。相手ならしてやるよ。安心しな。
と、その前に……
ヴェイン、ご苦労だったな。
今日の任務はここまでだ。帰っていいぞ。
それから、ウメダにいる2人にも伝えとけ。
任務完了、全員解散だってな。
あのヤローならステージに向かってブッ飛んだぜ!どうだ、ビビったか?
手下を解散させたという事は、次にブッ飛ぶのはお前1人だぞ。
もっとも、お前にとっての敵は筋肉質の2人だけではないがな。
リリックがブッ飛んだ!?
はははは!リリックがブッ飛んだ!ブッ飛んだ!
こりゃ傑作だ!はははははははは!
何がおかしい!
一度ブッ飛ばしただけで足りなければ、何度でもやってやるぞ!!
すると、黒い物体がふよふよとステージの上に向かって浮き、ぐにゃぐにゃと蠢きながら人の形へと変わっていく。
妙な奴だとは思っていたが……不死身などあり得るのか!?
剣や槍、斬撃も……釘バットや拳、打撃も……
銃や弓、射撃も……炎や氷、魔法も……
全てを無効化し、自分で体を再生する怨念の集合体。
それが……
おいおいおいおいおい!ちょっと待ってくれよ!
武器も魔法も効かない不死身の体で、しかも怨念の集合体だと!?
とんでもねーバケモンじゃねぇかー!!どうすりゃいいんだよ!?
帝国には何の為に建てられたのかわからない謎の研究所がある、という噂がある。
そこで作られた者なら、どんな能力を持ったどんな生き物でもおかしくない。
……たとえ、生き物ですらない怨念の塊でもな。
へぇ、噂ってのはすごいなぁ。
あの研究所もリリックの生い立ちもバレちまったよ。
とぼけてくれるなぁ、グラリオ。
あの研究所を嫌いながら、コソコソ近付いてた事は知ってんだぜ?
なぁジャック。
お前はウメダでの生活が終わったらどうするつもりだ?
そりゃあ知ってるさ。
ヴェイルノートだってお前がウメダにいることを知ってて会いに来たんだ。
なぜ会いに来たのか、何をしに来たのか、気になるか?
じゃあ質問を変えようか。
ジャック、お前はこの世界に来たばかりの人間だ。武器も無ければ世界の知識もない。お前の住んでいた「あっちの世界」とは違って、放っておけば簡単に死んじまう危険でいっぱいの世界に、何も持たないお前はやってきたんだ。
普通、何も知らずにその辺のモンスターに出会って、誰にも知られずに死ぬ。それがこの世界の常識。
……だがお前は、今日まで多くの人間に会ってきたはずだ。
男も女も大人も子供もそう、
人間もゴーストもサキュバスもそう。
この世界の住人も異世界人も、帝国の人間もそうでない人間も出会い、いろんな事があったはずだ。そうだろ?
しかも、お前に優しくしてくれる奴ばっかり。不思議で不思議で仕方ないよなぁ?
どうしてなのか、自分が何者なのか……
知りたくないか?
そうだぞジャック君!
確かに私達は以前から君を知っている!だが人と出会いやすい理由とは関係ない!
ははは!自分からヒントを出すなんてバカ正直な奴だな!
しかも今、「私達」って言わなかったか?ジャックの秘密を知ってるのは1人じゃないって事だ!はははは!
ウメダの近くの森が爆発したのも、このクラスタドームのライブがこんな風になったのも、自分が何なのかわからないオレが……みんなと会ったからなんですか……?
おいちょっと待てよ!なんでそうなるんだよー!そんなわけねぇだろ!
それ以上耳を貸すんじゃない!
ジャック君は特別などではない、普通の人間だ!私やゴラゴラン、アモン君と同じただの異世界人!同じ五智谷市に住んでいただけの……!
教えて下さい……!
オレは……何なんですか……?
どうしたら、みんなに迷惑をかけずにいられますか……?
待てよジャック!正気か!?相手は帝国なんだぞ!?何されるかわかんねぇんだぞ!?
オレは……なんで異世界転生なんてしたのか気になってたんだ……。もしかしたらそれが……。
言っただろ!
オレだって現実でポックリいって、気付いたら異世界にいたんだって!
異世界転生したのはジャック、お前だけじゃないんだぜ!?
おいねーちゃん!
ジャックを逆ナンするならオレも連れてけよ!
オレだって異世界転生したんだぞコノヤロー!
おいおい、誰が異世界転生が正解だなんて言ったんだ?ジャックが特別な理由は現実世界で死んだからじゃないぞ?
ジャック君、心配する事はないさ。
この騒動が終わったら、一緒にウメダに帰ろうじゃないか。
またいつも通り、いつもと同じようにのんびり過ごしていればいい。
私達は不思議な世界に迷い込んだ異世界人だが、「何かをしなければならない」と誰かに言われたわけではないんだ。のんびりと過ごしていても誰にも文句は言われない。
ほら、君はいつも言っているじゃないか。
「お家へ帰ろう」と。
もちろん、冒険がしたければウメダから出たっていいだろう。
そうだな……私やルルカちゃん、煌君も誘って楽しく冒険しよう。皆いれば安心できる。そうだろう?
いやぁ楽しみだなぁ!機械仕掛けの国「レイドロギア」でも妖精や鬼の住む町「テイル・プロミーズ」でも、どこだって連れて行って――
グラリオさんは……どうしてオレに……優しくしてくれるんですか……?どうしてそこまで……?
な、何を言ってるんだ?人に優しくするのに理由など必要ないだろう?
オレに……特別な何かがあるからですか……?オレの……何かが欲しいからですか……?
違う!それは違うぞジャック君!!君を狙っているわけじゃない!!
そういう意味じゃないです……。
……オレは……いつも思ってました……。みんな優しくしてくれるけど、オレは何も出来てないなって……。
「いらない」、そう答えるでしょうね。わかってます。
グラリオさんだけじゃない、ゴラゴランさんも、アモン君も、ソニアちゃんも……
ルルカちゃんも煌さんも、ミノルも、妹も……みんな、いつもみたいに笑ってくれると思います……。
でも、悔しいんです……!
みんなにありがとうって伝えるだけじゃ恩返しにならない、もっとみんなのためになるような事しなきゃって……!
グラリオさんとゴラゴランさんだけが残るって言った時だって、「このままじゃただ逃げるだけになる、そんなの嫌だ」って思いました……!
でも……!
怖いのは恥ずかしい事じゃないぞ、ジャック君。
私だって怖い、不安に思うことはたくさんある。
…………でもな、ジャック君。
君が死んでしまったあの日、君は勇気を出した。
恐怖も不安も押し殺し、あの時他の誰にもできなかった事を成し遂げた。
そして、1つの命が救われたんだ。
君の命と引き換えにね……。
だから私は、君が勇気を持っている事を知っている。君がとても優しく、強い事を知っている。
そして、だからこそ……!
心優しい君を、君の力を、帝国に渡してはならないんだ!!!
グラリオの声は大きく響き、不安で押し潰されていたジャックの心を満たしていく。
君の勇気には人の心を動かす力がある。
例えばゴラゴランもケバブ君も、何を隠そう私もその1人だ。
君のように誰かを救いたい、そう思ったんだ。
君の勇気、今度はこの異世界で見せてくれないか?
君なら誰かを笑顔にできる。幸せにできる。私達と同じように異世界に来てしまった人の道しるべになれる。
今度は私が君に教えたように、君が誰かに教えてあげるんだ。
君ならできる!
泣かせるなよおおおお!オレ、友情とかそういうのに弱いんだよおおおお!
男というのは不埒な者が多いと思っていたが、そうでもないのかもしれないな……。
ジャックの顔色が良くなり、安心するグラリオ、ゴラゴラン、アモン、ソニア。
そして、ゆっくりと拍手をする不気味な男が1人。
はぁ!?轟鬼ってあの時会った……!?
まるで別人じゃねーか!どう見ても敵だぞ!?
こうなる事はわかってたからな。
再起不能にすればいいだけだ。”あいつ”みたいにな。
その瞬間、紅はジャックの方ではなく出口への通路の方にチラッと目をやる。
グラリオは増援と攻撃を予想し、すぐに注意を促す。
あぁ、すげぇ重傷だろ?
なぜなら”あいつ”は…………
ジャック達にゆっくり背を向け、出口への通路を見る紅。
チャンスかと疑うアモン、それを止めるグラリオ。
皆の視線が通路に集まる中、現れたのは……
お、おい、あいつ!なんであんな怪我してんだ!?死にそうじゃねーか!!
ワイの友達には……!
指一本触れさせへんからな”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!
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