第35話 猫君の将来の夢

文字数 1,326文字

タコ焼きは1人3個ずつ。

あっという間に食べ終え、みんなでおしゃべり。

あの、誤解しないで欲しいんです。

僕のお母さんは普段はとっても優しいんです。


いつも僕の健康を気にして、無農薬の野菜を取り寄せたりして、おやつも全部手作りしてくれるんです。

このタコ焼きっていうの、初めて食べました。
お、おいしい……よね?
おいしいです!
よかった~

お母さんには内緒だよ。

猫ボーイのママは、陰謀論にさえ出会わなければ、良いママだったんだな。


南出市長メッセージを真面目に読み過ぎちゃったなぁ~


……僕、小学生の頃、喘息でよく発作起こしたんです。

それでお母さんは僕を心配して、食事療法や体質改善の本をたくさん読んだり、セミナーっていうのに行ったりして勉強していました。


お母さん、南出市長のコラムはとっても納得するって言っていました。

(自然派ママの下地があったんだな)
猫君は受験なんだよね?


将来なにになりたいの?

えっと、実は、喘息の治療に通っていた病院に、優しい看護師さんがいて。


去年、久し振りにその病院にインフルエンザワクチンを打ちに行ったとき、その看護師さんに会って……

(猫君のお母さん、コロナワクチンはNGだけど、インフルエンザワクチンはOKなんだね)
~猫君の回想シーン~
あら、猫君久し振りね。

ずいぶん背が高くなったのね。

こんにちは。僕のこと覚えているんですか?
もちろん! 元気になってよかったわね。
でも帰り際、看護師さんを見たら、とても疲れているように感じて。
…………(ため息)
そりゃあ、医療従事者はコロナ対応で心身ともに疲れ切っているだろうよ。

僕は自分が辛かったとき、助けてくれたお医者さんや看護師さんを尊敬している。

大変なのはわかっているけど、僕も頑張って勉強して、医療の仕事をしたいんだ。


こんなこと言うの照れくさいけど、あの看護師さんに励ましてもらったように、今度は僕が誰かを励ましたいなって……

お! 猫ボーイ、なかなか見どころあるじゃねえか。


医療の道に進むのなら、なおさらコロナワクチンの接種は不可欠だぜ!

ウサギも猫君を応援するよ。

(猫君、看護師さんが初恋のお相手なのかナ)

(メソメソ)
(え、兄ちゃん、泣いてる?)
僕、こういう話、弱くて。

(グズグズ)

ほら、兄ちゃん、ティッシュ使え。

ありがと。(グズグズ)

猫君、もし困ったことがあったら、すぐここに来て僕に言ってね。

うん、ありがとう!
(どうやら兄ちゃんは、若い男の子が好きなんだナ)
猫君を見送る3人。もう空には一番星。


上空を遮るもののない常世沼周辺は、夕暮れグラデーションのフルスクリーン。

兄ちゃん、もしアイツに困ったことがあったら、どうするつもりなんだ?
もしこじれて猫君が悲しい思いをすることになったら、いったん人類滅ぼして、ゼロからやり直した方がすっきりするかもしれないよね。
(う、ウサギは今の話、聞かなかったことにしよう)
兄ちゃん、怖えよ。(ドキドキ)
1日の終わりに、お月見しながら露天風呂に入るウサギ。
ふうぅ~気持ちいいね。


上弦の月から、いくぶんふっくらとしてきたお月様だ。

どんなお月様もウサギは好きだよ。


月面観測所のみんなは元気かな?

そういえば海ちゃん、ずっとお母さんのこと ”ママ” って言っていたな……クスッ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色