第49話 まずは免疫についてざっくりと
文字数 1,456文字
細菌やウイルスが体内に入ると、それをやっつけるために免疫細胞たちが戦うってのは前に習ったよ。
まず、免疫っていうのは、「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類あるんだよ。
自然免疫:
生まれつき体に備わっている仕組み。
過去に遭遇したことのない病原体にも、反応してくれる免疫システム。
ただし、一度戦った病原体を覚える(免疫記憶)仕組みは無い。
獲得免疫:
自然免疫では防ぎきれなかった病原体に反応する第2の壁。
一度戦った病原体を覚えて(免疫記憶)、次に体内に侵入した際に攻撃する免疫システム。
獲得免疫は、自然免疫の働きをサポートする役目もあるため、獲得免疫を高めることが免疫全体の強化につながる。
自然免疫の代表的なものは、「好中球」「マクロファージ」「NK(ナチュラルキラー)細胞」があってね、
「NK(ナチュラルキラー)細胞」が即座に攻撃、タイマン勝負
次に、獲得免疫の代表的なものは、「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「B細胞」など。
自然免疫だけでは片付かない病原体を、少し遅れて獲得免疫が攻撃するよ。
特にB細胞は、敵に合わせてカスタマイズした武器(抗体)を作るんだ。
あ、お兄さん、ちょっと待って。
(一生懸命ノートにメモする猫くん)
(みんなはボサ~っと聞いているだけなのに、猫くんはなんて真面目なんだろう……)
猫くん、大丈夫?
発動が早い「自然免疫」と、やや発動までに時間がかかるけど敵に合わせた攻撃ができる「獲得免疫」は、お互い協力し合って働くんだ。
こうして戦ったB細胞、T細胞の多くは死滅しますが、一部は「メモリーB細胞」「メモリーT細胞」として、侵入した病原体を記憶したまま、長く体内で生き続けます。
そしてまた同じ病原体が侵入したら、即座に効率よく攻撃することができるのです。
風疹や水ぼうそう、おたふく風邪に一度罹ったら、もう罹らないっていうのは、こういうことなんだね。
そう! そうだよ、猫くん。
そしてワクチンは、この獲得免疫の仕組みを利用しているんだ。
【山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信】
免疫とワクチン〈ワクチンとは〉
同じ病気に2回かからない、という現象を人工的に作り出そうという発想で誕生したのがワクチンです。
ウイルスや細菌を何らかの方法で弱毒化、もしくは無毒化したものを投与(接種)することにより、獲得免疫を誘導します。
その後、同じウイルスや細菌が侵入しても、獲得免疫がすぐに攻撃するために増殖を抑えることが出来ます。
そういえば、インフルエンザワクチンって、どうして毎年打たなければいけないの?
1~2回打ったら終わりのワクチンもあるよね。
インフルエンザウイルスは、毎年型が変わることと、インフルエンザワクチンは持続期間の短い「不活化ワクチン」だからだよ。
そうだよ。次はワクチンの種類について話そうか。
(猫くん、僕の言葉を漏らさずに聞いて、書き留めてくれている。感激)
(猫パパと海ちゃんときたら、バルコニーでゴシップ話しているし)
(ウサギさんも一点見つめしているから、おねむの証拠だし)
うん! お兄さんはもの知りなんだね、尊敬しちゃうなぁ。
(ああ、下界に来てみてよかった)
(悪魔族は長寿だけど、若く純粋な子とのふれあいで更に寿命が延びる……)
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