第32話 【日常回】カフェ修行

文字数 1,463文字

兄ちゃんは、三依市雲間温泉境リハビリセンター近くにある、三依信金を脱サラして開業したマスターの喫茶店に弟子入りした。


(チャットノベル:『リスケジュール』の舞台です)

そうそう、お兄さん、筋がいいよ。
そうですか? 

ありがとうございます。

マスターは褒めて伸ばすタイプ。


そこに常連の不動産仲介業者、田端さんもやってきた。

いらっしゃいませ。
お、イケメンのバイトだね~~

アイスコーヒー1つお願い。


角の反ワクチン・ノーマスクの整体屋のオヤジ、とうとう奥さんと子ども、愛想尽かして出て行ったらしいぜ。

あの親父さん、ワクチン接種は医者と製薬会社の陰謀だとか、いまだに言っていて頭痛いよ。

そういえば、お笑い芸人の出川さん? テレビで「僕はアレルギーがあるからワクチン接種していない」って言ってたな。


なんのアレルギーかわからんけど、本当に医者から止められているのかな。

mRNAワクチン接種できないアレルギーって、「ポリエチレングリコール(PEG)アレルギー」ですよ。

なかなか珍しいアレルギーみたいですけどね。

単なる食物アレルギーや花粉症、アレルギー性気管支炎、アトピー、じんま疹なら大丈夫なんだね。


お兄さん、もの知りだね~

その界隈にちょっと興味がありまして。


その芸人さんは「ポリエチレングリコール(PEG)アレルギー」なんですかね?


アレルギーをワクチン未接種の隠れ蓑にしているのか。

アレルギーは打てないと思い違いをしているのか。

いずれにせよその芸人の発言を聞いて、「自分もアレルギーだから打てない」と、勘違いする人が出てくるかもしれない。問題発言かも。

出川さん、ワクチン未接種だと今後の仕事の幅が狭くなるんじゃないの?

ロケとか行っても歓迎されないでしょ。


俺、ぜんぜん人のこと言えないけど、肥満だと感染したら重症化しやすいんだって?

出川さんもけっこう太っているし、ヤバイよね。

どうやら兄ちゃんは、ずっとマスターや常連さんたちと噂話をしていたようです。
ウサギは、羽河市の「うさぎ洋菓子店」に弟子入りした。


(一般小説:『電波うさぎ洋菓子店』の舞台です)

朝5時に起きて身を清めたら、お天道さまに向かって二礼二拍手。

店の周辺、道路側も含めて掃除。


一汁一菜の朝食を食べたら、地域の見回り隊活動。

スクールゾーンで元気に子ども達に挨拶。


帰ったら店内の掃除、感謝の心を込めて丁寧に。

(あれ? スイーツ作りの前にヘトヘトだよ?)
ウサギさんは店主に、生活態度、生きる姿勢から指導をされてしまったようです。
なんとか、ホットケーキミックスで作る焼きっぱなしケーキはマスターしたぞ。あとジャムも。


ウサギは真面目だからね!!

1週間後、奥雲間村に戻った2人。
お疲れさ~ん。さっそく珈琲とやらを飲ませてくれや。


厨房設備は整えておいたぜ。

いいよ。マスターからバイト代として豆をもらってきたんだ。
コポコポコポ…………お店に広がるいい香り。
すっきりして美味い……俺はこう見えて味にはうるさいんだ。

兄ちゃんは器用だな。

う、ウサギだって!


ウサギの作ったカステラをご賞味あれ!

なんだこれ、平べったくて不格好だな。
だって、型が無いからアルミホイルで作ったんだもん。
優しい懐かしい味で美味しいよ。
これ、ジャムでもはさんでロールケーキにしてもいいんじゃね?
なるほど。店主から黒スグリのジャムをお土産にもらったから、それを使おう。
なかなかいい出来栄えじゃねえか。


どれどれ……うん、酸味のあるジャムがばっちり合っている!

(満足げなウサギ)

長老にお裾分けしてくる!

常世沼周辺が、また賑やかになってきました。
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登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

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