第48話 猫くんと猫パパのカフェ訪問

文字数 967文字

(ひょっこり顔を出す)こんにちは。
あ! 猫くん、いらっしゃい!!
お兄さん、僕、ワクチン打てたよ!


それでね、僕のお父さんがお礼がしたいって。

こんにちは、はじめまして。猫田といいます。

息子が大変お世話になりました。

こちらにどうぞ。猫くんよかったね、安心して受験できるね。


僕も地球を滅ぼさずに済んでよかったよ。

兄ちゃんは一見穏やかそうだけど、カッとすると何しでかすかわかんねえな。

(ふ~ん、猫くんのお父さんは人間族で、お母さんは猫人族なんだな)

カウンターに座った途端、喋り出す猫くんのお父さん。
息子から聞きました。

話を聞いて下さったそうで、その節はありがとうございました。


お恥ずかしい話、妻と妻の実家はかなりの自然免疫派で、ワクチン接種に大反対なんです。

私はこっそり打ちましてね、隠し通そうとしたら、うっかり接種証明書を見られてしまいまして、もう我が家は阿鼻叫喚ですよ。


陰謀論派は、ワクチン接種すると2年後に阿鼻叫喚の地獄が始まるって言っているけど、我が家はひとあしお先に始まりましたよ、地獄ってやつ。

(よく喋るな~)
え? ワクチン打ったことを隠していたの?
そりゃあ、そうですよ!

今後、ちょっとでも体調を崩したりしたら、なに言われるかわかったもんじゃない!!

風邪でもひいたら、鬼の首でも取ったかのように、ワクチンのせいだって言うに決まっているし。

おちおち「疲れた~」とかも言えなくなる。


「自然免疫が優れているのに、異物のワクチンなんか体に入れるなんて信じられない」って、延々と講釈たれるのが目に浮かぶ!!

おぉ、お父さま、ストレスが溜まっていらっしゃる。
反ワクチン派は、みんな妙に自信たっぷりだもんな。


ソースを出せって言うと、嬉々としていつものトンデモメンバーの情報を引っ張ってくるし。

はい、どうぞ。
お父さんにはブレンドコーヒー、猫くんにはカフェオレを給仕する兄ちゃん。


そして本日のスイーツは、ウサギお手製、柚子入り蒸しカップケーキ。

実は僕、免疫とかワクチンとか、実際のところよくわかっていないんだ。
猫くんは正直だな。実はウサギもだよ。
俺も。

陰謀論は詳しいけどな。

しらばっくれようかと思いましたが、私もです。
(猫パパ、明るいな)

(反ワクチン派と同居するには、めげないメンタルが必要なんだな)

じゃあ、僕の知っている範囲でざっくりと説明しますか?
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登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

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