第50話 次はワクチンについてざっくりと

文字数 1,593文字

「免疫記憶」について話したじゃない?


「免疫記憶」を手に入れるために、一度病気にかからないといけないっていうのは、ちょっと危険だよね。

そうだね、人によっては死んじゃうかもしれない。
そこで、ワクチンが生まれたんだ。


ワクチンは人体にはほぼ無害に改造してあって、免疫の記憶だけを覚えさせるという画期的なものなんだよ。

ワクチンの種類はね……

生ワクチン(弱毒化ワクチン):


実際の病原体の毒性を弱めて病原体を無くしたものを材料に作られたワクチン。

接種の回数は少なくてOK。


麻疹、風疹、水痘(水ぼうそう)、BCG(結核)、おたふく風邪など

不活化ワクチン:


病原体の感染する能力を失わせた(不活化、殺菌)ものを材料に作られたワクチン。

自然免疫や生ワクチンに比べて、生み出される免疫力が弱い。

そのため1回の接種では不十分で、追加接種が必要。


ジフテリア、百日せき、不活化ポリオ、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、ヒトパピローマウイルス(HPV)など

えっと、ヒト、パピローマ? 変な名前だね。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは


・子宮頸がん、肛門がん、膣がん、尖圭コンジローマなど、多くの病気の発生に関わる一般的なウイルス。


・性経験のある女性の50%以上が、生涯で1度は感染すると言われているウイルスで、一部の人はがんになってしまう可能性があります。

(特に近年、若い女性の子宮頸がん罹患が増えています)

HPVワクチンは、小学6年生~高校1年生の女子なら、公費で受けられる。


最近、HPVワクチンについてのPR活動がとても盛んだね。

トキソイド:


病原体の毒素だけを取り出し、毒性を無くして作られたワクチン。

不活化ワクチン同様、数回接種して免疫をつける。


ジフテリア、破傷風など

mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスペクターワクチン:


これらのワクチンは、ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与するもの。その流れは、


①投与された遺伝情報をもとに体内でウイルスのタンパク質を作る

  ↓

②そのタンパク質に対する抗体が作られる

  ↓

③免疫獲得

ワクチンは、”100%”感染しない、というものではないけど……
うん。でも、僕のお母さんは、自然免疫だけでコロナと戦おうとしているんだ。


それだけで、コロナに太刀打ちできるのかな……

「ワクチン」っていう武器があるのに、わざわざそれを放棄して、丸腰でウイルスに飛びこむように見えるね。
ワクチンを打てば、感染と重症化の防止になるんだよね。

人にもうつさないで済むし。

そうだよ。それに医学誌ランセットでは9月に、「ワクチン2回接種した人は、後遺症リスクが半減」と報告されている。


それから、もしコロナに感染したあとでも、ワクチンは打った方がいいらしい。

そうなの!?

感染すれば免疫がつくんじゃないの?

コロナウイルスは一度感染しても再度感染する可能性があるし、自然感染より、ワクチン接種の方がコロナに対する抗体の値が高まるんだよ。
ただし、コロナ後遺症がある場合は、慎重な対応が必要だよ。

後遺症がある方がワクチン接種して、良くなったという報告もあれば、症状が悪くなったという報告もあって、まだ検証が必要な段階なんだ。


ワクチンは万能というわけではないから、まずはコロナにかからないよう、手洗いやマスクなど基本的な対策の継続も必要だよね。

【参考】

クローズアップ現代+ 11/2『医師に聞く 新型コロナ後遺症』

国立国際医療研究センター 総合感染症科 森岡慎一郎医師

風邪やインフルエンザに、後遺症とか聞かないもんね。

やっぱりコロナはただの風邪なんかじゃないよね。

お母さんもいつか、わかってくれればいいんだけど……


お母さん、いつも「免疫力をアップすれば大丈夫」ってそればっかりなんだ。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色