第103話 反ワクさんの正露丸騒動と「心理的逆転」

文字数 1,842文字

久々に陰謀論界隈の話。

あの界隈、ちょっとしたことで盛り上がって、相変わらずわちゃわちゃと楽しそうだよ。

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確かに楽しそうだね。


この人たち、リアルでもこんななのかな。

ま、リアルで浮いていても、ネットに仲間がいるからいいのかな?

でもよ、すべて逆張りして常識を疑われるようなことばかりしてさ、はたから見ると人生大変そーだなって思う。

なんかスゲー疑心暗鬼で被害妄想ヤベエよな。

そうだね、どうして「そっちの道は行っちゃダメだよ」っていう道ばかり、わざと選ぶんだろうね。

苦労するのが好きなのかな? 大変なのが好きなの?

騙されまいと思っているのは、実は臆病?


まとめて言うと、不幸が好き?

ん? なんかどこかでその類の本を読んだような……

ちょっと探してくる。

バタバタと走り去る黒猫。
じゃあその間、ウサギたちは温かいカフェオレでもいただきましょうかねぇ。
お、いいな、急に寒くなったもんな~
僕にもちょうだい。町に新しくできたコンビニで買ってきたチョコとポテチもあるよ。
え、兄ちゃん町に行ったの? ウサギも行きたかったよ~
今度は誘うね。
うん、約束だよ~
少しして戻ってきた黒猫
これこれ、この本になんか似たようなことが書いてあったような。

お、私にもカフェオレお願いします。

『「助けて」が言えない~SOSを出さない人に支援者は何ができるか~』


松本 俊彦 編者

日本評論社 2019年7月発行


P28「楽になってはならない」という呪いートラウマと心理的逆転(嶺 輝子)


 臨床の仕事に携わっていると、クライエントの思いもよらない反応に虚をつかれたり、困惑させられたり、悩まされたりするケースにしばしば遭遇する。


たとえば(こちらは味方であり協力者であるにもかかわらず)クライエントから攻撃的な言葉や態度をぶつけられる、クライエントにとって有効な治療を提案している間に、「それはできない」「それはいやだ」「これは○○」などさまざまな抵抗をされる、治療者から見て「今日はなかなかうまくいったな」と思える治療の直後に「全然よくなかった」「まったく変わっていない」というような非常にネガティブな感想を言われる、次の予約までの間に「こういうことをしてください」とお願いしたことをまったくしてもらえず「こういうことはしないでください」と注意を促していたことを行って悪化させて戻って来られてしまう、(略)などといったような苦い経験は、臨床治療や回復の援助をされている方ならどなたでもおもちであろう。

なんかデジャヴ。
そういう抵抗的なふるまいを、アメリカの心理学者ロジャー・キャラハン博士は「心理的逆転」って名づけたんだって。
P30

 心理的逆転という用語は、その状態が、自己利益に向かうという人の通常の動機づけの状態を逆転させ、敗北や不利益へと向かう行動をとらせるように見えるため名づけられた。

(略)

このような人々はしばしば慢性的に不機嫌で、人生に対して否定的な姿勢を示す。

えっとね、キャラハン博士は「自滅的パーソナリティ障害」の8つの特徴が、心理的逆転と呼ぶものに密接に関わっていると述べていて、それを挙げると、
①他によい選択肢があるのに、失望、失敗、虐待を招くような人や状況の方を選ぶ


②他者の助けを拒絶したり、その助けを無効化する


③目標達成など肯定的な出来事に対して、落ち込んだり、罪悪感を持ったりする


④他者から怒りや拒絶を引き出しておきながら、その後で傷ついたり、敗北感や屈辱感を抱く


⑤充分に社交的スキルがあるにもかかわらず、喜びの機会を拒否し自らが楽しんでいることを認めない


⑥発揮できる能力があるにもかかわらず、大切な仕事を完遂することができない


⑦常によい扱いをしてくれる人に対して退屈を感じたり、無関心である


⑧相手に求められてもおらず、やめて欲しいと言われるような、過度に自己犠牲的なことを行う

この心理的逆転が存在するクライエントは、高い確率で複雑性PTSDを抱えているらしい。


複雑性PTSDというものは、重度のストレス要因(長期的な虐待、放棄など)にさらされた結果、引き起こされる心的外傷で。

ちょっと見せて。


複雑性PTSDを抱えたクライエントは、自己否定の呪いを自分にかけているんだね。

心理的逆転を解消して、呪いを解くことが必要……

黒猫さん、書いてあること理解できるの?
いんや、ちょっと気になった部分に付箋貼っているだけで。難しいことはわからないよ。(キッパリ)


次回もビビッときた部分の紹介してもいいかな?

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登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

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