第33話 猫君は中学3年、受験生

文字数 1,710文字

久し振りにバスに乗り、町にやって来たウサギ。


冬に備えて、温かい靴下や新しい手袋を買いに来た。

それから本屋さんでマンガやラノベを少々物色。

お留守番の2人にタコ焼きを買っていってあげよう。

クスクス、美味しくて驚くぞ。

中学校を通り過ぎるとき、ふいにビラを渡され、驚き身をかわすウサギ。


見ると、ノーマスクのおじさん。

私は大分県臼杵市の市議会議員です。

聞いてください、新型コロナは風邪の一種で、死に至る病ではありません、未成年はワクチンを打たないで!

わわわ、怖い怖い。
慌ててバスに乗り込むウサギ。
はーびっくりした~、町にはいろんな人がいるなぁ。
終点の『常世温泉』で降りて、常世カフェまで5分ほどテクテク歩くウサギ。


ふと常世沼のほとりでぼんやりする猫の少年の姿が。

…………
どうしたね、少年、今日は風が冷たい日、風邪が首元から入り込んでしまうよ。


風邪は万病のもと。

反ワクチン派は風邪を見くびりすぎだと、ウサギは思うよ?

少年をカフェに誘導するウサギ。

ドアを開けると、兄ちゃんと海ちゃんがまったりくつろいでいた。


兄ちゃんは猫君を見ると、慌てて駆け寄る。

どうしたの? こんなに冷えちゃって。温かいココアは好き?
あ、はい! ありがとうございます。
フワフワのフリースを肩に掛けてあげたりして、甲斐甲斐しく世話を焼く兄ちゃん。


そして甘めのミルクココア。

(兄ちゃん、やけに優しいな)
どうした、なにか悩み事があるなら言ってみろ、猫ボーイ。
(海ちゃんは相変わらずストレートだな)
みんな! タコ焼きを温め直したから食べよう。

美味しくて驚くぞ。(2回目)

ココアで温まり、ほっとしたのか、ポツリポツリと話し出す猫君。
僕、中学3年生で受験なんです。

今度町で、受験生を対象にコロナワクチンの集団接種をしてくれることになったんです。


でも、お母さんが……

(さては……)
僕のお母さんはワクチン接種に反対なんです。


友達はみんな接種予約したし、僕も受験だから打ちたいんだけど。

反ワクママか!

猫君のお母さんは、どういう理由でワクチン接種を反対しているの?

お母さんが言うには……
猫君のお母さん。
届いたワクチン接種券の中に「泉大津市長メッセージ」が入っていたの。


南出市長がこう言っているわ。

・新型コロナワクチン接種は強制ではありません。


・受けない方に対して接種を強要することや、行動制限を求めるものではなく、同調圧力や差別は決してあってはなりません。


・ワクチン接種による感染予防効果や中長期的な人体への影響については明らかになっていません。


(南出市長からのメッセージ太字部分抜粋)

ママは驚いていろいろ調べてみたの。


そしたらね、コロナワクチンは遺伝子組み換えの殺人ワクチンで、何人も死んでいるのよ!

打ったらもう元の体には戻れないの。酸化グラフェンで血栓ができるらしいし。


ママは気づいて、目覚めてしまったの。

南出市長のコラムに、免疫力を高めて感染しにくくなる身体作りが共有されている。


マグネシウム鼻うがい、ビタミンD摂取、オメガ3の摂取とオメガ6を減らす食事、樹木のフィトンチッド(ティーツリー、檜、レモンマートル等の精油や森林浴)で抗酸化したり、あと緑茶習慣で抗ウイルスね。


もし感染したとしても重症化しにくくなるんだって。ママはワクチンには頼らないわ!

あー反ワクチン派の市長か。実在するんだ。

南出市長、若くてイケメンなのにねぇ。


市民の皆さま、お察しします。

南出市長は表向き「コロナワクチン慎重派」というスタンスです。


「新型コロナワクチンの長期安全性が確立されるまで、日本の将来を託す子どもに接種してはならない」という理念。要するに反対派

『こどもコロナプラットフォーム』を立ち上げていて、代表発起人の1人。

国際オーソモレキュラー医学会会長も代表発起人になっています。


(オーソモレキュラーといえば、E医師も扱っていますね)

そして10/9の活動報告に記載した四日市市義の伊藤昌志氏と、D医師も発起人に名を連ねています。

その他の発起人……武田邦彦氏、矢作直樹氏など

猫ボーイのママは、良く言えば真面目、悪く言えば思い込みが激しくて融通がきかねえな! そんなんじゃ、生きづらいだろうになぁ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色