第22話 練習試合もガチでいくわよ!

文字数 1,233文字

【前回からの続き】


mRNAワクチン接種後、身体の中ではどんなことが起こっているか……


ここから読んだ方のために、まずは免疫細胞たちを再度自己紹介。

【樹状細胞】

体内に入ったウイルス(抗原)を素早く察知。

ウイルスの指名手配書を作り、キラーT細胞、ヘルパーT細胞に渡す。

【ヘルパーT細胞】

樹状細胞からの指名手配書を元に、B細胞、キラーT細胞へ指示を送る攻撃の司令塔。

【B細胞】

ウイルスを攻撃するための抗体を作り発射し、ウイルスの侵入を食い止める。

【キラーT細胞】

B細胞が放った抗体をすり抜けて細胞に入ったウイルスを、細胞ごと抹殺する。

僕はmRNAワクチン。ウイルスそのものではなくて、設計図になります。


今、体内に投与されました。

……妙ね。
どうした、樹状細胞!


アンタがまず犯人の指名手配書を作ってくれないと、こっちは動けねえよ。

なぜか敵(異物)の実体がはっきりと掴めないのよ。敵の真似事をしているっていうか。


確かに尻尾は見えたの、でも変ね、張りぼて? 

とりあえず掴んだ情報を送るわ。

うっ、確かに片鱗は見えたけど、なんだあれ、幽霊みてえ。

やばいヤツっぽいけど、アタシの勘では、そんなに悪さをするようには見えねえ。


そういえばアイツ、前にも見たことあるな。

確かに敵っぽい形をしているんだけど……私達はいったい何と戦っているんだ?
(少しずつ体温が上昇してきた)


……みんな勘がいいな……本物じゃないって気がついたんだ……でも……細かいことは気にせず……そして私のことも気にせず……どんどん……やっちゃってください……


これは練習試合のようなものだけど……本番のつもりで本気出しちゃってください……

はーい! B細胞行っちゃいまーす。


ウイルスを攻撃するための武器(抗体)を、いーっぱい作って発射しちゃいます~

1回目の時に作ったことあるから楽勝、2回目はめいっぱいブーストしますよ~!

細胞に侵入したウイルスは、私がピンポイントで攻撃するから安心して。


B細胞は広くウイルスの探索と攻撃をお願い。

わかった~キラーT細胞ちゃん、頼りになる~
よし! その調子だ。アタシらのチームプレーはイケてるな!
(ちょっと、私の存在も忘れないでよね)
免疫反応(副反応)とは、免疫細胞たちのこうした働きによって引きおこされる現象である。


ウイルス排除のため、免疫システムが働きやすくなるよう、体温が高くなるのだ。

(高熱、全身関節痛でぐったりしながら)


うん、身体に警報が発令されている……よしその調子……頑張って、私の細胞たち……みんながわちゃわちゃ動いて副反応が起きているということは、きちんと免疫が作られてきているという証拠だから……私はもう少しで免疫を手に入れる……!


最後に出張ありがとう……(朦朧)

繰り返しますが、副反応の強さと、抗体獲得には相関関係はありません。
ワクチンが体内に入って消えるまでについては、


第7話『小金井医師会パンチライン一問一答①』参照。

次回は本番!!


本物のコロナウイルスが体内に侵入したら!?

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

素朴で真面目なウサギ。お昼寝とスイーツが好き。三依市奥雲間村でのんびり暮らしている。

雑談がガイドラインに抵触しないよう、作者からお目付役を頼まれている。


物知りで穏やかな悪魔のお兄さん。

反ワクチン派たちが、預言やら悪魔やら千年王国やらをしきりに口にするため、気になってこちら側に遊びに来た。

山奥の奥雲間村が気に入って滞在中。

海坊主だが、奥雲間村の常世沼(とこよぬま)が気に入って棲息している。

各方面に遠慮無く喋る自由人。

喋っているのは海坊主なので大目に見てください。


町中にあるウサギの実家に住むお嫁ちゃん。

家族の健康を第一に考え、健康食品に傾倒した結果、自然派ママの洗脳を受けてしまう。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色