第80話 YAMAHA:QY100【1】
文字数 1,116文字
高校三年生の秋の終わり。
演劇の県大会、僕のガッコウは順位、同列二位だった。
しかし、関東大会に出場できる枠が二組しかなくて、一位は確定していたので、同列二位から選ばれることになり、僕のガッコウは出場できなかった。
つまり、実質県大会三位だった、ということである。
同列二位は、県北地区からの二校、つまり、名門校と、元名門の僕のガッコウで、昔はこの二つの高校が関東大会常連だったらしく、どちらか片方の高校に進ませたかったらしい。
そういう理由で、名門二校のうちの一校である僕らは関東大会へは行けなかった。
僕の通っていたガッコウが名門校だったのは昔の話で、僕たちは背部寸前の演劇部を建て直して県大会まで進んだのだが、そんなこと、審査員が知るよしもなかったのであった。
そうして、〈部活の夏〉は終わった。
メアリーは高校を辞めて、ほかの部員たちは受験勉強に邁進した。
僕はひとり、ぼろぼろになった。
受験どころの話ではなかった。
僕は県庁所在地である水戸に通って、「外の空気を吸う」ことをすることにした。
予備校にも顔を出したのだが、演劇でやたら有名になってしまったので、予備校生たちが、
「あ! 先生役のひとだ!」
と、からかうので、予備校なんて通えるものじゃなかった。
なので、すぐに行かなくなった。
僕は水戸の街を彷徨う生活をし始めた。
☆
ここでこの作品の時系列を整理しようと思う。
僕は中学生時代、少女小説などで育つ。
高校に入り、国語の課外学習やブラバンなどと、仲良くした。
同時に、視聴覚委員会に入る。
高校二年の夏、演劇部にスカウトされ、入部。
部活を建て直し、スタープレイヤーたちを倒し、県大会へ。
県大会は三位であった。
と、ここまでが高校時代の流れである。
ここから、僕の〈上京物語〉が始まる。
上京するために、僕はお金を貯め始める。
高校卒業後の秋、メアリーはどこかへいなくなってしまった。
メアリーがいなくなってから、僕に彼女らしい彼女ができることは、多くの妨害もあって、それ以降は、ない。
哀しい、寂しい人生である。
しかも判断ミスで、一番僕を憎しんでいるカケという男を、東京に招き寄せてしまい、絶望を味わうことになる。
それはすでに、この作品の序盤で書いた通りだ。
ここからの〈文学と音楽の物語〉は、〈延長戦〉みたいなものだ。
山もオチも意味も、特にない。
この作品は2003年に書いていた小説のリライトだ、とずっと前に述べたが、書かれたのは演劇部の話のところまでだった。
これからは、それ以降の、リライトではない話を紡ぐ。
こころのなかで縫い閉じられた物語を、これから書いていこうと思う。
〈次回へつづく〉
演劇の県大会、僕のガッコウは順位、同列二位だった。
しかし、関東大会に出場できる枠が二組しかなくて、一位は確定していたので、同列二位から選ばれることになり、僕のガッコウは出場できなかった。
つまり、実質県大会三位だった、ということである。
同列二位は、県北地区からの二校、つまり、名門校と、元名門の僕のガッコウで、昔はこの二つの高校が関東大会常連だったらしく、どちらか片方の高校に進ませたかったらしい。
そういう理由で、名門二校のうちの一校である僕らは関東大会へは行けなかった。
僕の通っていたガッコウが名門校だったのは昔の話で、僕たちは背部寸前の演劇部を建て直して県大会まで進んだのだが、そんなこと、審査員が知るよしもなかったのであった。
そうして、〈部活の夏〉は終わった。
メアリーは高校を辞めて、ほかの部員たちは受験勉強に邁進した。
僕はひとり、ぼろぼろになった。
受験どころの話ではなかった。
僕は県庁所在地である水戸に通って、「外の空気を吸う」ことをすることにした。
予備校にも顔を出したのだが、演劇でやたら有名になってしまったので、予備校生たちが、
「あ! 先生役のひとだ!」
と、からかうので、予備校なんて通えるものじゃなかった。
なので、すぐに行かなくなった。
僕は水戸の街を彷徨う生活をし始めた。
☆
ここでこの作品の時系列を整理しようと思う。
僕は中学生時代、少女小説などで育つ。
高校に入り、国語の課外学習やブラバンなどと、仲良くした。
同時に、視聴覚委員会に入る。
高校二年の夏、演劇部にスカウトされ、入部。
部活を建て直し、スタープレイヤーたちを倒し、県大会へ。
県大会は三位であった。
と、ここまでが高校時代の流れである。
ここから、僕の〈上京物語〉が始まる。
上京するために、僕はお金を貯め始める。
高校卒業後の秋、メアリーはどこかへいなくなってしまった。
メアリーがいなくなってから、僕に彼女らしい彼女ができることは、多くの妨害もあって、それ以降は、ない。
哀しい、寂しい人生である。
しかも判断ミスで、一番僕を憎しんでいるカケという男を、東京に招き寄せてしまい、絶望を味わうことになる。
それはすでに、この作品の序盤で書いた通りだ。
ここからの〈文学と音楽の物語〉は、〈延長戦〉みたいなものだ。
山もオチも意味も、特にない。
この作品は2003年に書いていた小説のリライトだ、とずっと前に述べたが、書かれたのは演劇部の話のところまでだった。
これからは、それ以降の、リライトではない話を紡ぐ。
こころのなかで縫い閉じられた物語を、これから書いていこうと思う。
〈次回へつづく〉