第90話 YAMAHA:QY100【11】
文字数 1,003文字
小学生高学年の時。
クラス替えといって、クラスのメンバーが変わって、知らない奴らと同じクラスになるイベントがあった。
その中に、ユキヒサという男がいた。
いつもげらげら笑って、他人を嘲笑することで挑発し、怒った誰かが攻撃してくると「暴力をふるってきたそいつの方が悪い」という理由になる、という戦法を使い〈勝つ〉というダーティーな方法論でユキヒサは恐れられていた。
また、勉強は出来るし、怒って暴力をふるう「我慢が出来ない奴」というのは決まって勉強が出来ない生徒なので、教師たち大人はユキヒサを擁護し、暴力生徒を叱りつける、というのが常で、ユキヒサは「生きるのが上手い奴」として知られていた。
挑発してきたら普通、怒るし、ひとをバカにするユキヒサの方が悪いと僕は思うのだが、教師たちからえこひいきされているユキヒサに逆らうと大変な目に遭うということで、こいつがしてくる嘲笑の挑発は容認されていたのが、僕のいた小学校だった。
まあ、そういうわけで、クラス替えがあって、ユキヒサがクラスメイトになったのだが、僕はバカにされていたので、そのウェーブに乗ろうと、ユキヒサが思い切り僕を罵倒し、挑発してきた。
僕は殴りかかった。
殴るとユキヒサは、
「うひょひょひょひょーーーー!」
とあざ笑いながら攻撃を受ける。
教師が止めに入る。
もちろん、ユキヒサを助けるためだ。
ユキヒサの思うつぼだ。
だから。
もちろん、僕は止めに入る教師を蹴り飛ばして、ユキヒサへの暴力による攻撃を続けた。
教師への蹴りや殴りも忘れない。
僕は机や椅子を蹴り飛ばした。
授業は停止した。
これは、「おおごと」になれば、わかってくれる奴も出てきて、ユキヒサの戦法、そしてこのガッコウの現状もわかってくれる大人が出てくるだろう、という算段である。
結果。
僕だけでなく、ユキヒサもお叱りを受けることになった。
ユキヒサが怒られる、という、前代未聞の事態に追いやった僕は、ある意味では「勝ち」だった。
そして、さすがに授業中断までの事態にした僕を認めたのか、ユキヒサは僕に普通に話しかけてきた。
そこで僕も普通にユキヒサと話をする。
僕とユキヒサは、友達になった。
喧嘩から友情、という、昔の少年漫画ではよくある、でも現実ではなかなかお目にかかれない奴だった。
その一件のあと、僕とユキヒサは、よくつるむようになったのであった。
〈次回へつづく〉
クラス替えといって、クラスのメンバーが変わって、知らない奴らと同じクラスになるイベントがあった。
その中に、ユキヒサという男がいた。
いつもげらげら笑って、他人を嘲笑することで挑発し、怒った誰かが攻撃してくると「暴力をふるってきたそいつの方が悪い」という理由になる、という戦法を使い〈勝つ〉というダーティーな方法論でユキヒサは恐れられていた。
また、勉強は出来るし、怒って暴力をふるう「我慢が出来ない奴」というのは決まって勉強が出来ない生徒なので、教師たち大人はユキヒサを擁護し、暴力生徒を叱りつける、というのが常で、ユキヒサは「生きるのが上手い奴」として知られていた。
挑発してきたら普通、怒るし、ひとをバカにするユキヒサの方が悪いと僕は思うのだが、教師たちからえこひいきされているユキヒサに逆らうと大変な目に遭うということで、こいつがしてくる嘲笑の挑発は容認されていたのが、僕のいた小学校だった。
まあ、そういうわけで、クラス替えがあって、ユキヒサがクラスメイトになったのだが、僕はバカにされていたので、そのウェーブに乗ろうと、ユキヒサが思い切り僕を罵倒し、挑発してきた。
僕は殴りかかった。
殴るとユキヒサは、
「うひょひょひょひょーーーー!」
とあざ笑いながら攻撃を受ける。
教師が止めに入る。
もちろん、ユキヒサを助けるためだ。
ユキヒサの思うつぼだ。
だから。
もちろん、僕は止めに入る教師を蹴り飛ばして、ユキヒサへの暴力による攻撃を続けた。
教師への蹴りや殴りも忘れない。
僕は机や椅子を蹴り飛ばした。
授業は停止した。
これは、「おおごと」になれば、わかってくれる奴も出てきて、ユキヒサの戦法、そしてこのガッコウの現状もわかってくれる大人が出てくるだろう、という算段である。
結果。
僕だけでなく、ユキヒサもお叱りを受けることになった。
ユキヒサが怒られる、という、前代未聞の事態に追いやった僕は、ある意味では「勝ち」だった。
そして、さすがに授業中断までの事態にした僕を認めたのか、ユキヒサは僕に普通に話しかけてきた。
そこで僕も普通にユキヒサと話をする。
僕とユキヒサは、友達になった。
喧嘩から友情、という、昔の少年漫画ではよくある、でも現実ではなかなかお目にかかれない奴だった。
その一件のあと、僕とユキヒサは、よくつるむようになったのであった。
〈次回へつづく〉