第38話 成瀬川るるせと新世界【2】

文字数 1,711文字

 幼稚園生のときから10代半ばまで、漫画を描いてきた。
 小説を書き始めたのは、その延長線上であり、だから僕の小説は漫画っぽいのかもしれない。
 じゃあ、熱心な漫画の読者だったかというと、そうではなかったけれども。
 母親は、気が向いた時に漫画を買ってきてくれたが、それ以外は、コミックスを買ってくれないので、なにかのコミックスが全巻揃うことは、まずなかった。
 母親は、僕が熱を出して小学校を休むと、だいたい少女漫画やレディースコミックの単行本を買ってくる。
 もちろん、僕が知らない漫画だ。
 『おるちゅばんエビちゅ』など、ここに書くと削除されてしまう単語の、女性の身体の部分などをネタにした下ネタを多用する漫画であるが、絵柄は可愛いし、UFOキャチャーの景品になったこともあるが、その『エビちゅ』のコミックスを買ってきたりする。
 そのくせ、僕が女性と仲良くすると、両親は激怒した。
 ホモに育てたかったらしい、特に母親は。
 父も、「女とはあまり喋るな!」と睨み付けて、怒鳴るときもあるので、帰京後はあまり女性と喋らないようにしたが、そうしたら今度は「おまえ、ホモなのか?」と素っ頓狂なことを訊いてくる始末であった。
 僕の両親は、頭がおかしい。
 話を戻すと、女性版の下ネタ漫画を小学生の頃から読んでいたのであった。
 そのせいか僕は、ももせたまみ先生が〈OLギャグ〉という下ネタをテーマにした四コマ漫画を描いていた初期の頃から好きで読んでいて、萌え系に転向してからの漫画をももせたまみ先生が描いていた雑誌『まんがライフMOMO』を数年間の間、毎号買っていたことがある。
 一方、少女漫画も買ってくれていたので、僕は小学生の頃、『きんぎょ注意報!』を、アニメ化する数年前から知って読んでいた。

 僕は『きんぎょ注意報!』のわぴこが好きだ。
 だが、そんなメンタルの女の子にはお会いしたことがなくて、だからこそわぴこは僕の中で永遠の憧れの少女だ。
 ちなみにわぴこの声優さんに、ラジオであかほりさとる先生が「わぴこの声でえろいこと言ってよー」というので声優さんがそれに応じたのを覚えていて、あかほりさとる先生のサイン色紙をあかほり先生の担当編集者さんからもらったときは飛び上がるほど嬉しかった。
「君は、えろいね!」
 って、言われたけどね、その編集者さんから。
 まあ、いいのさ。







 僕は漫画だと頭の中で浮かぶストーリーを書いていたら何年かかるかわからないようなものを考えてしまうので、小説を書くことにして良かったと思っている。
 パソコンを使ってハイスピードでストーリーを書けるなんて、最高じゃないか!
 日本ではイラストや漫画を描くひとが偉くて、小説書きはただのカスだと思われている節があるけどねー。

 僕にとって小説を書くことは〈祝祭〉で、小説とは〈祝祭空間〉だ。
 そう考えているから、ミハイル・バフチンの概念である〈ポリフォニー〉や〈カーニヴァル文学〉というのが、読んでしっくり来た。
 だって、自分と考え方が重なるのだもん。
 ありがとう、バフチン!

 話を進めると。
 そういうことで、僕はえっちぃ漫画で育ったようなものなのだが、普通の子供が読む漫画を読んでこなかったから、偏りがあり、コミュニケーションツールとしての漫画、というのは全然存在しなかった。
 なので孤立していたし、今も孤立している。

 エロガキと言うなかれ。
 文学はエロスだ。
 えろを書かなくてもエロスを感じさせるものが、やっぱり良いと僕は感じる。
 こうして、えっちいのが好きなままで僕は大人になってしまった。
 えっちぃことする相手はいないし、それでなにがエロスだよ、って話だが。
 僕は寂しい人間だよ、間違いない。

 今回は、小学生の時のエピソードを書こうと思って書き出した。
 でも、書こうと思えば書けるけど、印象に残っているのは、碌なことがない。
 全人生、碌でもない想い出だらけだが、みんな、僕が小学生にして『おるちゅばんエビちゅ』を読んでいたとは、知らなかっただろうなぁ、と今更考えると笑えてくる。

 要するに。
 想い出だけでなく、僕自身が碌でもない、ってのが今回のオチだ。





〈次回へつづく〉
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成瀬川るるせ:語り手

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