第91話 YAMAHA:QY100【12】
文字数 1,318文字
小学校高学年の時。
僕とユキヒサは、僕がつくったお手製の小説型ゲームでお昼休み、毎日遊んだ。
僕がつくったゲームとは、当時流行っていた〈ゲームブック〉と〈テーブルトークRPG〉を組み合わせた書物型ゲームである。
僕がゲームシステムを構築し、シナリオを書いて、テーブルトークRPGで言うところの〈ゲームマスター〉になり、ユキヒサが〈プレイヤー〉になって遊ぶ、というものである。
その頃流行っていた〈ゲームブック〉とはなにか。
ゲームブックとは、数字で番号が振ってある文章を読んでいると選択肢が出てきて、選択肢を選んだら、そこに書いてある番号の文章まで飛んで読む、ということを繰り返して読んでいく小説である。
選択肢には、もちろんバッドエンドもあるし、システム上、マルチストーリーだし、マルチエンディングにも出来る、「シナリオ」が書いてある、文字通りゲームのような小説である。
一方の〈テーブルトークRPG〉は〈TRPG〉と略される。
RPGとはロールプレイングゲームの略で、遊ぶ人は「ルールブック」を頭に入れたゲームマスターとプレイヤーにわかれて遊ぶ。
システムとシナリオをあやつるゲームマスターとプレイヤーはトークをしながら、ダイスなどを振りながらバトルをしたり、行動を決めたりしながら進んでいく、というゲームが〈TRPG〉である。
僕のつくったゲームは、ゲームブックの要領で番号を振ったシナリオをつくり、バトルシーンではダイスを振って攻撃点数を決めるシステムを搭載した〈ゲーム〉である。
それをユキヒサや、あとで加わったプレイヤーの友人たちを相手に、遊んだのである。
つまり、僕はシナリオ文章を、小学生高学年の時は、分厚いノート数百ページにわた
って書いていたことになる。
これが、大いにウケた。
大盛況だった。
ユキヒサとは、そういう関係性だった。
そのユキヒサに紹介された、ほかのクラスの人間の中に、コーゲツがいた。
コーゲツとは、ユキヒサを介して友人になったのであった。
☆
高校を卒業して、ユキヒサと再会し、遊ぶようになった。
僕はその頃、ファッション雑誌『BOON』の愛読者で、そこに連載されていた、井上三太・作『TOKYO TRIBE2』の大ファンだった。
僕は上京後、高井戸に住み、渋谷や吉祥寺、下北沢などを徘徊する日常を送るのだが、『TOKYO TRIBE2』のWikiにある「架空の町とされているが実際の町並みが描写されていることが多い。テラが襲われた吉祥寺、ガリレオとの戦いの高井戸の杉並清掃工場、ムサシノの溜り場ペニーズは杉並区宮前のロイヤルホスト(現在は閉店)」は、僕の活動圏内で、全部知っている。
この漫画の連載時期は1997年から2005年までで、僕のこの私小説『密室灯籠』の描く年代とほぼ合致している。
そう、暴走族ってのが〈チーマー〉と呼ばれ始めたのもこの頃で、そして僕が住んでいた頃の杉並区からは、半グレと呼ばれる反社会勢力が生み出されることになる。
でも、上京してからの話の前に、児童劇団のスタッフになった話もしよう。
同時に、カケとの楽器遊びのことも。
では、次の項へ進むとしよう。
〈次回へつづく〉
僕とユキヒサは、僕がつくったお手製の小説型ゲームでお昼休み、毎日遊んだ。
僕がつくったゲームとは、当時流行っていた〈ゲームブック〉と〈テーブルトークRPG〉を組み合わせた書物型ゲームである。
僕がゲームシステムを構築し、シナリオを書いて、テーブルトークRPGで言うところの〈ゲームマスター〉になり、ユキヒサが〈プレイヤー〉になって遊ぶ、というものである。
その頃流行っていた〈ゲームブック〉とはなにか。
ゲームブックとは、数字で番号が振ってある文章を読んでいると選択肢が出てきて、選択肢を選んだら、そこに書いてある番号の文章まで飛んで読む、ということを繰り返して読んでいく小説である。
選択肢には、もちろんバッドエンドもあるし、システム上、マルチストーリーだし、マルチエンディングにも出来る、「シナリオ」が書いてある、文字通りゲームのような小説である。
一方の〈テーブルトークRPG〉は〈TRPG〉と略される。
RPGとはロールプレイングゲームの略で、遊ぶ人は「ルールブック」を頭に入れたゲームマスターとプレイヤーにわかれて遊ぶ。
システムとシナリオをあやつるゲームマスターとプレイヤーはトークをしながら、ダイスなどを振りながらバトルをしたり、行動を決めたりしながら進んでいく、というゲームが〈TRPG〉である。
僕のつくったゲームは、ゲームブックの要領で番号を振ったシナリオをつくり、バトルシーンではダイスを振って攻撃点数を決めるシステムを搭載した〈ゲーム〉である。
それをユキヒサや、あとで加わったプレイヤーの友人たちを相手に、遊んだのである。
つまり、僕はシナリオ文章を、小学生高学年の時は、分厚いノート数百ページにわた
って書いていたことになる。
これが、大いにウケた。
大盛況だった。
ユキヒサとは、そういう関係性だった。
そのユキヒサに紹介された、ほかのクラスの人間の中に、コーゲツがいた。
コーゲツとは、ユキヒサを介して友人になったのであった。
☆
高校を卒業して、ユキヒサと再会し、遊ぶようになった。
僕はその頃、ファッション雑誌『BOON』の愛読者で、そこに連載されていた、井上三太・作『TOKYO TRIBE2』の大ファンだった。
僕は上京後、高井戸に住み、渋谷や吉祥寺、下北沢などを徘徊する日常を送るのだが、『TOKYO TRIBE2』のWikiにある「架空の町とされているが実際の町並みが描写されていることが多い。テラが襲われた吉祥寺、ガリレオとの戦いの高井戸の杉並清掃工場、ムサシノの溜り場ペニーズは杉並区宮前のロイヤルホスト(現在は閉店)」は、僕の活動圏内で、全部知っている。
この漫画の連載時期は1997年から2005年までで、僕のこの私小説『密室灯籠』の描く年代とほぼ合致している。
そう、暴走族ってのが〈チーマー〉と呼ばれ始めたのもこの頃で、そして僕が住んでいた頃の杉並区からは、半グレと呼ばれる反社会勢力が生み出されることになる。
でも、上京してからの話の前に、児童劇団のスタッフになった話もしよう。
同時に、カケとの楽器遊びのことも。
では、次の項へ進むとしよう。
〈次回へつづく〉