第82話 YAMAHA:QY100【3】

文字数 1,246文字

 最近、こころも身体も、コンディションがよくない。
 気付けば愚痴だらけの雑記を書きなぐっている。
 だが、ふてくされている場合ではないな、と思った。

 ふてくされたことを書くたびに、クリエイティヴィティがだんだんなくなっていく自分がいる。
 体調がよくないのだから、少し休むのもいいけど、なにも書けなくなるような、不安がある。
 不平や不満や愚痴を吐き出してしまう僕は、やっぱりダメな奴だ。
 でも、まだ生きる。
 何度も死のうとして、生き残った僕は、まだ生きる理由があるのかもしれないな、とも思うからだ。


 不思議に思われるかもしれないけど、「子供の頃の夢はなんですか」と尋ねられても、「そんなのまるでなかったね!」と、僕は言い返すしかない。
 幼稚園に通っていた頃から漫画を描いていたので、なにかしら書き続けたかったけど、夢っていうわけでもなかった。
 中学生の頃、歌をうたっていた。
 ギターも独学で始めた。
 独学なので悪い癖がついてしまい、歌もギターも、矯正できるレベルじゃないくらい、逆に壊滅的になってしまった。
 その経験を踏まえて、僕は小説は徹底的に〈努力の仕方の勉強をして〉始めた。
 東京にいた頃、〈特撮〉というバンドのベーシスト、高橋竜さんから「努力の仕方」を、最後の最後に、教えてもらえたので、それに則って、小説を書くための〈努力〉を始めた。
 また、南大沢で、とある大学の先生に、思考法について学んだことも、大きい。
 それについては、いずれ語るかもしれない。

 とかく、それまで僕は無軌道過ぎたのだ。
 僕は時間がなかったから、総てをなげうった。
 結果、20代を、潰してしまった。
 この物語に登場するギンという男は、立身出世して、女遊びの髄を尽くした。
 今もウハウハだと思う。
 それは、コーゲツやカケたちも同様だ。
 出世して、女遊びをしながらわいわい人生を楽しむ。
 一方の僕は、ひとり、暗い部屋でうずくまって、いろいろ研究した。
 だが、いろんなひとの意見を取り入れるうちに、またしてもミュータント化してしまったようだ。
 楽しみながら、努力をするべきだった。
 僕はほぼクソ童貞のコミュ障として、今では近隣住民から「知恵遅れ」とバカにされながら生きている。
 話が脱線したが、無軌道に突っ走った頃の話を、僕はこれからしていくことになる。
 下を向いて生きる僕は、だが、努力だけはたくさんした。
 結果から言うと、河出書房新社の雑誌『文藝』の『文藝賞』で、第三次選考まで残ることになったが、純文学は、そこで辞めてしまった。
 僕は、エンタメを、模索することになる。
 この物語は、設計図通りならば、品川区五反田のエピソードで終わることになる。
 なんでこんなネタバレをしているかというと、書ききる自信がないのと、体調がわるくて、生存していられるか自体が謎なため、マッピングだけでも、今のうちに、お読みいただいている読者の方々にお見せしておきたかったからだ。

 さて。
 時間を引き戻して、物語を続けよう。



〈次回へつづく〉
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成瀬川るるせ:語り手

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