第1話 シーン【scene】:ある分野の状況。

文字数 930文字

シーン、って言葉がある。擬音じゃなくてね、Sceneのことね。

ある分野の状況のことを指す言葉。

どこかのシーンのまっただ中に、僕はいたいと望んでいる。

僕の主戦場、NOVEL DAYSも、流れからすると

シーンを形成させそうな勢いがあった。

ただ、運営が公式で放置していたからか、

一人去り、二人去り、などを経て、

今のNOVEL DAYSは文芸に力を上げていることも相まって、

スターティングメンバーでのシーンの形成には失敗した。

今後、なんらかの手を打って出るだろうと期待してはいるけれど、

そこには、初期からいたメンバーはほとんどいないだろう。

名前を挙げていくことだって出来る、いなくなった、

優秀な人材たちの。

でも、それは今はやめておこう。

彼ら、彼女らは、今もどこかで戦っているからだ。




……こんなことを書いているのは、ちょうど今、

鶴見俊輔さんが雑誌『ガロ』周辺に集まっていたひとたちを

『ガロ学派』と呼んでいた、というのをムック本で知ったからだ。

学閥や藩閥的思考によらず、

民間の、サブカル系雑誌に『学派』って付けるの、

鶴見俊輔さんらしいな、と思う。

彼が書いた夢野久作の伝記はとても有名だが、

その夢野久作だって、『新青年』という雑誌の、

いわばシーンの中にいた人物だ。

それも、シーンの片隅にいたような。



そもそも僕がNOVEL DAYSにいるのは、

雑誌『メフィスト』を定期購読していたり、

不定期刊行ムック本『ファウスト』の読者だったからだ。

メフィスト系、という言葉がある通り、

シーンを形成していたし、

新本格ミステリの牙城だった。

その雑誌などを出していたのが講談社だったので、

憧れていたのだ。なにに、って、その〈シーン〉に。




僕は東京にいた頃、南大沢に毎週通っていた時期があった。

大学の講義を聴講するためだ。

また、それから五年近く後には、仙台文学館の講座に参加していた。

でも、僕はどっちの経験でも、仲間に加わるって感じじゃなかった。

そこにはそこのシーンがあって、中に入れば、違っていたかもしれない。

でも、僕にはそれが出来なかった。

そこらへんの話も、いずれ、したいなぁ、と思っている。

なので、たまに、思い出話でも、書きたい。

たまに、気にかけてくれると、ありがたい。

では、今日はこの辺で。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

成瀬川るるせ:語り手

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み