第89話 YAMAHA:QY100【10】
文字数 1,518文字
ユキヒサたちのグループと『リーフファイト97』という格ゲーをプレイしてから数年後。
ひょんなことから僕はファッション雑誌の読者モデルの子と出会う。
その子と僕はゲームセンターに行った。
すると、そのゲームセンターには『月姫』の格ゲーである、『メルティブラッド』の筐体が置かれていた。
メルティブラッドは、『THE QUEEN OF HEART』という、『To Heart』のヒロイン同士が戦う2D対戦型格闘ゲームをつくった、同人ゲームサークルの〈渡辺製作所〉がつくったゲームである。
もちろん、『THE QUEEN OF HEART』は、ユキヒサのところでプレイしている。
ゲームセンターの筐体のモニタに映し出された、〈渡辺製作所〉がつくったことを指すクレジットに心躍る僕は、隣にいる読者モデルの女の子そっちのけで『メルティブラッド』をプレイするしかなかった。
僕がジョイコントローラをガチガチ動かすのを見て、読者モデルの女の子は、
「このゲーム、ぱんつ見えそうなのに見えないんだね」
と、僕に言う。
「ん? 『AQUAPAZZA』ってゲームならば、ぱんつ見えるよ。じゃあ、『AQUAPAZZA』をプレイしようかなぁ」
僕がジョイコントローラをガチガチ動かしながらそう言うと、その子は、心底さげすむ目で僕を見た。
それに対して、僕はこう主張した。
「『メルティブラッド』も、確かにぱんつが見えそうで見えないよ。でもさ、君もぱんつ見せてくれないわけじゃん? だったら同じじゃん?」
我ながら最悪な主張であり、論理が飛躍している。
自分で言っていて支離滅裂である。
もちろん、僕がそう言ったその直後、読者モデルのその女の子は僕に対して、とても怒った。
激怒、と言っても良いだろう。
説明しておくと、『AQUAPAZZA』は、『To Heart』を始めとするアクアプラス作品のキャラクター同士が多彩な技を駆使して戦うクロスオーバーの格闘ゲームである。
若干ややこしいが、株式会社アクアプラスのアダルトゲーム専用ブランドがLeafである。
僕のなかではLeafの方が先に思い出されるので、Leafがアクアプラスの美少女ゲームブランドである、というその順序を失念してしまうことがしばしばある。
だいたい、同人屋である〈渡辺製作所〉が、ゲーセン用ゲームをつくるまでに成長することだって、〈渡辺製作所〉が同人からスタートしたということを失念させてしまうほどだ。
この関係性、未だに僕には難しくてわからない。
格ゲーと言えば、僕はのちに、ニトロプラスという美少女ゲームブランドの格闘ゲーム『ニトロプラスブラスターズ』もプレイすることになる。
僕は美少女ゲーム原作の格ゲーと縁があるようだ。
だが、今はその話ではなく。
読者モデルをやっているような娘をそっちのけで2Dのドット絵の、ときにえっちなことになるおねーちゃんたちが暴れる格闘ゲームをプレイする、っていう状況って、なかなかないと思う。
だって、その子、現実の〈モデルさん〉だぜ?
それこそ、どうにかして読者モデルの子のぱんつを脱がすくらいにならなければダメだったように思う。
その願いは叶わなかったけど。
あの頃、一緒に遊んでいた、その読者モデルの子は、今はどこでなにをしているのやら。
僕にはわからない。
わかる術はない。
僕はその子と、一緒にオリエンタルランドで経営している、千葉にあるけど東京という名を冠した巨大テーマパークに行ったのが最後になり、連絡が取れなくなったのだが、人生なんてそんなことの繰り返しだよね。
そんなもんだよ。
違いない。
では、話を、上京する前に戻そう。
〈次回へつづく〉
ひょんなことから僕はファッション雑誌の読者モデルの子と出会う。
その子と僕はゲームセンターに行った。
すると、そのゲームセンターには『月姫』の格ゲーである、『メルティブラッド』の筐体が置かれていた。
メルティブラッドは、『THE QUEEN OF HEART』という、『To Heart』のヒロイン同士が戦う2D対戦型格闘ゲームをつくった、同人ゲームサークルの〈渡辺製作所〉がつくったゲームである。
もちろん、『THE QUEEN OF HEART』は、ユキヒサのところでプレイしている。
ゲームセンターの筐体のモニタに映し出された、〈渡辺製作所〉がつくったことを指すクレジットに心躍る僕は、隣にいる読者モデルの女の子そっちのけで『メルティブラッド』をプレイするしかなかった。
僕がジョイコントローラをガチガチ動かすのを見て、読者モデルの女の子は、
「このゲーム、ぱんつ見えそうなのに見えないんだね」
と、僕に言う。
「ん? 『AQUAPAZZA』ってゲームならば、ぱんつ見えるよ。じゃあ、『AQUAPAZZA』をプレイしようかなぁ」
僕がジョイコントローラをガチガチ動かしながらそう言うと、その子は、心底さげすむ目で僕を見た。
それに対して、僕はこう主張した。
「『メルティブラッド』も、確かにぱんつが見えそうで見えないよ。でもさ、君もぱんつ見せてくれないわけじゃん? だったら同じじゃん?」
我ながら最悪な主張であり、論理が飛躍している。
自分で言っていて支離滅裂である。
もちろん、僕がそう言ったその直後、読者モデルのその女の子は僕に対して、とても怒った。
激怒、と言っても良いだろう。
説明しておくと、『AQUAPAZZA』は、『To Heart』を始めとするアクアプラス作品のキャラクター同士が多彩な技を駆使して戦うクロスオーバーの格闘ゲームである。
若干ややこしいが、株式会社アクアプラスのアダルトゲーム専用ブランドがLeafである。
僕のなかではLeafの方が先に思い出されるので、Leafがアクアプラスの美少女ゲームブランドである、というその順序を失念してしまうことがしばしばある。
だいたい、同人屋である〈渡辺製作所〉が、ゲーセン用ゲームをつくるまでに成長することだって、〈渡辺製作所〉が同人からスタートしたということを失念させてしまうほどだ。
この関係性、未だに僕には難しくてわからない。
格ゲーと言えば、僕はのちに、ニトロプラスという美少女ゲームブランドの格闘ゲーム『ニトロプラスブラスターズ』もプレイすることになる。
僕は美少女ゲーム原作の格ゲーと縁があるようだ。
だが、今はその話ではなく。
読者モデルをやっているような娘をそっちのけで2Dのドット絵の、ときにえっちなことになるおねーちゃんたちが暴れる格闘ゲームをプレイする、っていう状況って、なかなかないと思う。
だって、その子、現実の〈モデルさん〉だぜ?
それこそ、どうにかして読者モデルの子のぱんつを脱がすくらいにならなければダメだったように思う。
その願いは叶わなかったけど。
あの頃、一緒に遊んでいた、その読者モデルの子は、今はどこでなにをしているのやら。
僕にはわからない。
わかる術はない。
僕はその子と、一緒にオリエンタルランドで経営している、千葉にあるけど東京という名を冠した巨大テーマパークに行ったのが最後になり、連絡が取れなくなったのだが、人生なんてそんなことの繰り返しだよね。
そんなもんだよ。
違いない。
では、話を、上京する前に戻そう。
〈次回へつづく〉