リア充が死語にならぬまま爆発した現在過去未来占い

文字数 1,996文字

別の投稿サイトの漫才原稿コンテストに応募してその他大勢になった作品です。落選の原因を自己分析すると以下の通りです。


・女性向けお笑いサイトのコンテストなのに女性の年齢をネタにした

・動きが少なすぎる。漫才では身振り手振りが必要

・そもそも面白くない

昨日彼女とデートした
お前は二十五歳であの子は二十歳。羨ましいな
それで占い師の部屋に行った。一緒に占ってもらった
変わったデートだな
二人してネーミングに誘われたからな
店の名前にか?
占いネームにだ。その名も『リア充が死語にならぬまま爆発した現在過去未来占い』
……たしかに惹かれるが、それって恋人が仲良く受けるものか?
キャッチフレーズが『二分の一の確率』
当たるのが50%か
いいや。占った恋人たちの半分は仲が深まり、残り半分は終わりを告げるらしい
愛が生きるか死ぬかの占いだな
本来ならばそんなのは受けない。だが俺と彼女は倦怠期を迎えつつあった。

二人の関係に刺激を与えるため、『二分の一でラブラブに。あの時の二人をもう一度』を頼ってしまった

破局確率も二分の一だろ
後から気づいた。すでに遅しだった。俺達は否応なく占われた。一万五千円払わされたうえにだ
自分から望んだのだろ。……占いでお互いに知られたくない秘密がばれたと違うか?
どき!
やはりな。そのため恋人たちの半数は別れる
どきどき!
だが半数は愛を確かめあう。そして危機を乗り越える
おっしゃるとおり、俺たちは愛を試されまくった。まず俺の女性遍歴がばれた。

いや女性遍歴なしをさらされた

それはきつい
二十五年の人生で彼女いないタイムが二十五年弱だったが露見した。

彼女へと『お前は俺の十人目の女だぜ、ベイビー』なんて言っていたのにだ

赤面レベルの自業自得だな
さらに彼女の男遍歴もあからさまにされた。だがそんなことはどうでもいい
互いの過去に目をつぶるって奴か
ちがう。もっとすごい事実を知ってしまったからだ
目をつぶりたくてもつぶれないほどか?
ああ。言えないほどだが言っていいか?
聞きたくなくはないから、聞かせてくれ
彼女はサバを読んでいた。二十歳と聞いていたのに、実際は三十歳だった
すがすがしいほどの年齢詐称だな
すべて教えてやる。彼女の小六から三十歳までの十八年間で、彼氏はのべ二十九人
のべってなんだ? よりを戻したのもカウントされるのか?
十八年間で男がいなかった時間は七時間三十二分十四秒だけ。重複している時間のがはるかに長い
そこまで細かく計測され……重複ってまさか
二股三股に決まっているだろ!

俺は二十九人目だったのに、同時進行中の三十八歳親父が星を稼いだため三十位に落ちてしまった

投稿サイトのランキングかよ。しかし占いでそこまで分かるのか
まずタブレットを渡されて、五十の質問に答えたからな
遍歴を真面目に回答したのかい
占い師の作戦だったのかもしれない。だとしても楽しい時間だった。二人できゃっきゃしながらパネルをペンでタッチした。ついでにあそこもタッチした。

それが占いが終われば……

何気に下ネタ入れたな。しかし彼女も暴露されてショックだったろう
彼女は泣きだしてしまった。……かわいい泣き顔だった。二十歳どころか十代に見えた
純粋に好奇心から会いたくなったぞ
俺は『何ひとつ気にしていない』と、彼女をやさしく抱きしめた
その流れは、仲が深まるに転んだな
そのためには、越える壁があるでしょ!
叫ばなくていい。それは何だ?
彼女は言った。

『リア充死語をしごいてどぴゅっと爆発占いの現世しか見ていない。手を取りあって、過去と未来も見よう』

泣き顔が微笑みに変わる瞬間の皺は、三十五歳のようだった

俺は女性の年齢に突っこまない。占いタイトルが変わっているのにもだ。とにかく前世も来世も占ってもらったのだな
すごいことが発覚した。俺の前世は俺だった
はあ?
彼女の前世も俺だった
占い師の手抜きを感じたぞ
先生は奇跡的偶然の一致と感嘆していた。

要するに、この俺は俺の前世でもあり彼女の前世でもあったのだ

胡散臭さを越えて哲学な匂いさえ漂ってきたな。だったら来世は?
来世の俺は現世の彼女だ。それほどまでに二人は深く濃く絡み合っていた
さすがに意味分からんわ。彼女の来世はなんだ?
次に生まれ変わると平成のJKになるらしい
はい?
そんな彼女も令和になれば三十歳になる。つまり来世の彼女はいまの彼女の若かりし頃だ。男遍歴はまだのべ十五人だけだ
そして来世のお前でもある
そうなのよ。俺は三十人の男性遍歴を持つ三十女、ペア料金一万五千円払ったわ、三十八歳親父が待っているの、ほほほ、爆発するわ、どかーん
壊れるなよ
やばい。喋りすぎて彼女との約束に遅れそう
仲が深まっていたのかい
じつは愛の勝ち組のおのろけだったのだ
爆発しろ
死語だし



 

「「どうも~、ありがとうございました」」
パチパチパチ……

(さすがにこれは、二三十代女性ターゲットでは無理だろ)

ふわあ、よく寝た。……最初から流れがレトロ過ぎだよ
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