33日前 強くなった二人は日暮里で再会する

文字数 1,123文字

チュン、チュン

チュン、チュン

朝チュンもチャットだとオツになるな
おはよう。

私は学校に行くね。……東京でもがんばってください。

ああ……。忍も元気でな。
忍が涙をこらえてセーラー服に着替える。

まさか最後の夜も部屋に呼んでしまうとは思わなかった。

忘れ物はないだろうな。では行くぞ。

途中で道の駅に寄る。婆ちゃんに朴葉味噌を土産で頼まれた。

吉川の運転でベンツのBクラスで帰京する。悪魔使いはそこそこ儲かるようだ。
吉川様、お待たさせしました。
わお、プブンバ! 車内にいきなり現れるな。
例の悪霊に果たし状を渡してきました。

二対一の変則勝負。その代わり、勝ったら二人を好きにしていい。二人の師匠は魔法少女中島。何があっても、悪魔使い吉川を逆恨みしない。

そんな文面です。

大儀であった。次の休憩で運転を代われ。
その二人とは、早霧と魔法少女中島だろうか?

俺も戦うべきかもしれないが、ここは吉川の考えに従おう。

五希君……。

逞しくなった気がする。

20日ぶりに会った早霧が俺を見つめる。
早霧は綺麗なままだよ。変な筋肉がつかなくて良かった。

それでいて、内側に力がみなぎっているような。

うん。私は厳しい特訓に耐えた。このまま魔法少女を目指すかと聞かれたけど断った。

私たちの目的は違うものね。

俺たちの目指す道……。

それはクラッシュをはるか遠くに押しやり、かつ充実した日々を送ること。

ところで魔法少女中島は?
先生は来られないわ。彼氏と東武動物公園でデートだって。
……誰が悪霊と戦うの?
もちろん私と五希君だよ。

頑張ろうね♥

まずいことになった。前述のとおり、俺のレベルは33。あの悪霊はレベル105。単純計算で三倍強だ。

……でも、早霧が強くなっていたら。

私? レベル8になった。常人の八倍の力。これなら大晦日のスポーツ番組でも格闘番組でも優勝できる!
あの辺の人たちは常人の十倍以上のパワーだから、おそらく無理だろう。

それよりも、二人は見せ場もなく倒されるぞ。

ほお。師を超えるとはな。魔法少女中島はレベル7。ちなみにドツボリーナは魔力知力はレベル500だが、戦闘力はレベル0.3だった。
……我が師匠!

三人が力を合わせれば――

私が行ったところで勝てるはずないだろ。

お前たちだけのがミラクルが起きそうな気がする。根拠はないが。

相手を待たせるな。早く行け。

吉川に追いやられて、二人は繊維屋に入る。
疲れているから明日にしてくれって、虫が良すぎじゃね?

私も暇じゃないんだし。

そこをなんとかと、二人は地面に頭をつけてお願いする。
だったらクラッシュまでを半分寄こしてよ。

端数は切りあげるからね。

ふん!

悪霊はご機嫌を害したが奥へと去っていく。

俺たちを二度も土下座させやがって……。

明日には目にもの見せてやる。

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