ドン・キホーテを継ぐ者―MIE―(前)

文字数 1,992文字

満員御礼記念(嘘)

打ち切りお蔵入り(嘘)をチャットノベル化

ドン・キホーテを継ぐ者―MIE―(前)

前回までのあらすじ


青である俺は、正体不明の敵との戦いに明け暮れていた。そして再び、幼女ぽい何かである『違法だけど合法のふりをしたロリの真似』を、『スク水を着せられた()つ寸前の男の娘』とともに激闘の末倒す。


一連の戦いの結果、オーガキ市は員弁市を、アイチ県はクワナ市をミエ県より割譲した。さらには弱体化したミエへと、ナラとワカヤマが同盟を組み侵攻を開始する。


ニホンの平和を守るため、俺はィヴィ川の守り神であるヴーたちとともにミエに加勢する。

絶望的な戦いのさきに何があるのか? シリーズ最終作が始まる。

来ると思っていた
 オーガキ市市役所の市長室で美人歯科医兼業の二十代前半市長が微笑む。
……。
あなたの望みも分かる
だったら話が早い
 青である俺がソファに腰かける。その前で市長がスーツを脱ぎだした……シャワー室に入ろうとするではないか。彼女は俺の望みを間違えている。
その前に聞いてほしい。ミエの力になってくれ
それが狙いだったの? ……現ギフ知事は五選を果たした大物。八選して殿堂入りを狙っている男
 紫色の下着姿になった市長が振り返る。
彼に選挙で勝つには強烈な手土産が必要。それはミエを助けるではない。むしろ反対のこと

(野心家め。危ういことを平気で口にしやがる)

員弁市だけでなくコモノ町も手に入れたいのか? だがヨッカイチスズカへ涎を垂らすアイチの心証を害するぞ

 市長室備えつけのナイトテーブルにあるブランデーを、俺はグラスに注ぐ。氷が欲しい。

 市長がふっと笑う。

コモノなんて小物は単なる通り道。私の狙いこそがヨッカイチとスズカよ。

そしてアイチは手出しできない。なぜなら私たちには大きなスポンサーがいるから

(……あそこならば最悪の展開だ)


オーサカか?

 俺はグラスを手にしたまま、単刀直入に尋ねる。
まさか。それこそ小物じゃない。私が相手するはずない
 嘲りを浮かべた市長が服を着だしてしまった。
私たちのバックはアマガサキ
ヴヴヴ……イガとナバリがナラの手に落ちました
 巨大類人猿であるヴーが病んだ目で教えてくれた。
カメヤマは戦わずして降伏。マツザカは裏切った。

ツ市は孤立しました。もはや知事と連絡取れません

 ヴーの娘であり四十代への階段を登るユカリが補足する。
南部の戦況は?
よろしくないですな
 修行僧である珍月が答える。
……。
ワカヤマこそ強い。破竹の進撃でクマノを掌中にしました。オワセの防衛ラインも突破されるでしょう。

ナムタイシヘンジョーコンゴー

このままだとジリ貧だ。イセ・シマ・トヴァへ追い詰められる。

打ってでよう

 俺の提案に、ムラカミ水軍の長である村上ムネカタが首を横に振る。
包囲網を崩さないとどうにもならない。アイチに助けを請おう
そうね。ヨッカイチは手放しても仕方ない
スズカをおまけしても、アイチは兵をださない。なぜなら――
 俺はみんなに告げないとならない。逃げだす者が現れるとしても。
このミエ戦役は背後より操られていたから。アマガサキにだ
どひゃー!
うひょー!
ばいきゅー!
……。

(ムラカミ水軍と珍月満月兄妹が去ってしまった。ちなみにカラフルアーミーや刺殺溶解、隣室のお姉さん、スク水を着た中学生男子は、これまでの戦いで散っている。

 頼れるものはヴー母娘だけになった。この二人は俺を婿にするためにともに戦ってくれるが、俺にその気は皆無だ)

新たな仲間を探す旅に出かけよう。個別に行動して見つけだすぞ
はい
ヴヴ……
 俺の提案に母と娘が同意した。三人は朝早いアゴ湾を抜けだす。
 十日後の深夜。ミエはまだ生き延びている。俺たちはトヴァの水族館で落ち合う。それぞれが助っ人を連れてきた。
俺の隣にいるのは――
……。
 まず俺が新メンバーを紹介する。
自治会旅行で宿の浴衣を持ち帰り、盆踊りで着てみせた近所のおばさん』だ
ラインを交換しましょう
 近所のおばさんが挨拶する。
ヴヴヴ……私がともに戦うのは『夏場でも、足跡マークの半纏を羽織ったお爺さん』です
朝ご飯はいただきましたかね
 お爺さんが確認する。
私がみんなに紹介するのは――
 ユカリが声を潜める。
『五時を過ぎると三角ベースの透明ランナーが見えてくるけど、友だちには言えなくて、いつしか自分も透けてきてみんなに忘れられて空き地もなくなり、それでも自分をホームに返してくれるのを待ち続けている昭和の小学生男子


……夕暮れ時に路地を歩くなら振り向いてごらん。その子と目が合うかも

もう独りぼっちにしないでね
 野球帽をかぶった男の子が微笑む。
(背筋がゾクっとする奴らだ)
 これならばオーガキ、ナラ、ワカヤマにも負けない。
ミエを守るのは君らに任せた
 青である俺が言う。
……。
ヴヴ……
……。
……。
ウツラウツラ
その隙に、俺はアマガサキに潜入する。本丸を倒す
後半に続く
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