ドン・キホーテを継ぐ者―MIE―(前)
文字数 1,992文字
満員御礼記念(嘘)
打ち切りお蔵入り(嘘)をチャットノベル化
ドン・キホーテを継ぐ者―MIE―(前)
前回までのあらすじ
青である俺は、正体不明の敵との戦いに明け暮れていた。そして再び、幼女ぽい何かである『違法だけど合法のふりをしたロリの真似』を、『スク水を着せられた
一連の戦いの結果、オーガキ市は員弁市を、アイチ県はクワナ市をミエ県より割譲した。さらには弱体化したミエへと、ナラとワカヤマが同盟を組み侵攻を開始する。
ニホンの平和を守るため、俺はィヴィ川の守り神であるヴーたちとともにミエに加勢する。
絶望的な戦いのさきに何があるのか? シリーズ最終作が始まる。
オーガキ市市役所の市長室で美人歯科医兼業の二十代前半市長が微笑む。
青である俺がソファに腰かける。その前で市長がスーツを脱ぎだした……シャワー室に入ろうとするではないか。彼女は俺の望みを間違えている。
紫色の下着姿になった市長が振り返る。
市長室備えつけのナイトテーブルにあるブランデーを、俺はグラスに注ぐ。氷が欲しい。
市長がふっと笑う。
俺はグラスを手にしたまま、単刀直入に尋ねる。
嘲りを浮かべた市長が服を着だしてしまった。
巨大類人猿であるヴーが病んだ目で教えてくれた。
ヴーの娘であり四十代への階段を登るユカリが補足する。
修行僧である珍月が答える。
俺の提案に、ムラカミ水軍の長である村上ムネカタが首を横に振る。
俺はみんなに告げないとならない。逃げだす者が現れるとしても。
……。
(ムラカミ水軍と珍月満月兄妹が去ってしまった。ちなみにカラフルアーミーや刺殺溶解、隣室のお姉さん、スク水を着た中学生男子は、これまでの戦いで散っている。
頼れるものはヴー母娘だけになった。この二人は俺を婿にするためにともに戦ってくれるが、俺にその気は皆無だ)
俺の提案に母と娘が同意した。三人は朝早いアゴ湾を抜けだす。
十日後の深夜。ミエはまだ生き延びている。俺たちはトヴァの水族館で落ち合う。それぞれが助っ人を連れてきた。
まず俺が新メンバーを紹介する。
近所のおばさんが挨拶する。
お爺さんが確認する。
ユカリが声を潜める。
『五時を過ぎると三角ベースの透明ランナーが見えてくるけど、友だちには言えなくて、いつしか自分も透けてきてみんなに忘れられて空き地もなくなり、それでも自分をホームに返してくれるのを待ち続けている昭和の小学生男子』。
……夕暮れ時に路地を歩くなら振り向いてごらん。その子と目が合うかも
野球帽をかぶった男の子が微笑む。
これならばオーガキ、ナラ、ワカヤマにも負けない。
青である俺が言う。
後半に続く