44分前 救いの女神が現れる
文字数 1,203文字
牢屋の狭い窓から、地下ドームに急ピッチで処刑場を作る宇宙人たちが見える。
中華な女忍者だと?
噂には聞いたことがあるが……そんな存在がなぜ俺を助けに?
話せば長いですが、国連は宇宙人の地球侵略拠点が日本の町田に築かれたことを突きとめました。
そして常任理事国から各一名が町田に潜入しました。某国からは私です。
あなたの活躍により、我々は奴らの秘密基地を見つけられました。ありがとうございます。
その見返りにあなたを助けようと、国連の安保理で決議されました。
そんな経緯 があったのか……などとルビを振るほどの急展開。
だが、そんなことより。
俺は真摯に彼女の目を見つめる。
お店の三人でも、彼女だけはすれた感じがしなかった。
そんな彼女の頬が赤らむ。
二人は手を取りあい、宇宙人の地下牢から抜けだす。
15m43s
こうして俺たちは、残り15分を宇宙人五千人に追われて過ごすことになった。
……早霧が気づいたように、じつは俺の冥冥への態度は演技だった。でも、彼女の俺への眼差しは本物かもしれない。商売じゃないかもしれない。所持金が四千円の若い男と知ってのことだから……。
とにかく俺たちはここからの十数分を、身を焦がし鳴く秋の虫のように、焦燥に駆られながらお互いの魂を燃やすだろう。