2010日前 名古屋へ見舞いに行く

文字数 1,130文字

終末▷
新幹線も長旅だな。ようやく愛知に入ったか。永遠に静岡が続くと思った。

この県はあまりに横長だから、リニア真ん中ニュー幹線が迂回したのかもな。

ははは。東海道を通らない裏事情を知らないのか。はるか平成の初めのころ、『政界の(どん)』と呼ばれる男が某盆地に――
あっ、もう名古屋よ。若女将のお見舞いに直行しましょう。
お見舞いにキムダヨン人形を持ってきた。口からレーザーはでない仕様だ。
わざわざ東京から来てくれたうえに悪いな。ゴホゴホゴホゴホ
大谷さんから、デートの最中にいきなり倒れたなんて連絡あってびっくりしたよ。疲労からみたいだし、ゆっくり休みなよ。
そうもいかない。ミンミンたちが卒団したんだろ? みんなの分まで頑張らないとな。
……。(老舗旅館の一人娘として生まれたからか、人一倍責任感が強い若女将。それが暴走するからちょっと心配)
団長さんですか? 主治医の大谷です。若女将さんと私的に接点があったので、私が勤務する当院を勧めました。
魔法少女中島から聞いていたが、彼がメジャークラスの三高で公私ともに人望厚い二刀流の名医か。さらには若女将に一目惚れしたという……
先日の戦いでは、彼女は最強の敵と引き分けに持ち込みました。影のMVPです。魔道団の秘密警察長官と会計係のポストに空きができたので、彼女に引き継いでもらう予定です。
……よろしければ名古屋に一泊されませんか? 夕食をご一緒しましょう。
OK! どうせ暇な三人だし、借金がチャラになったし。
……味噌カツ、味噌煮込みうどん、きしめん、天むすは、次回の楽しみにしておきます。
たまたまかもしれないが、上記四品に良い思い出がない。
名古屋コーチンの手羽先のひつまぶしという幻料理を食することになった。大谷さんが個室を取ってくれた。
名古屋市民は月に一度はこれを食べています。
……名古屋が凝縮された味覚ですね。
こりこりしておいしい。
骨まで食べるな。

それはそうと大谷さん。若女将は福建四大天王の一部に逆恨みされている危惧があります。もちろん対策はしておりますが。

そうですか……。私も伝えるべきですね。

若女将の余命は残り一日です。

どひゃー!
冗談でしょ? そこまでには見えなかった。
彼女はどうやら呪いを受けている。

私は明日正式にプロポーズをします。一日だけでも彼女と結ばれたい。

呪いだと? 天才少女辛以外にも、彼女を苦しめる者がいるとでも?
深夜の病院。
うーん……
……死相が濃くなっている。もうじきかな?

だったらすぐに叩き起こして勝負させよう。

待て!
キムダヨン人形がしゃべった。かわいい……
俺はキムダヨン人形ではない!
うおおおお!
埼玉奥深くの術で擬態した悪魔祓い広岡だ!

福建四大天王の残党め、勝負だ!

最初の死闘が始まる。
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