ドン・キホーテを継ぐ者―NEO―(2)
文字数 1,011文字
シャワーを浴び終えた兼業市長が言う。
ウーよりは新しいだろう。ちなみにガラス張りはスモーク加工されて外から覗けなかった。
全裸にバスローブだけを羽織った俺が尋ねる。イチカワ前市長が全国各市に配ったものだ(嘘)。
市長が動揺したかのような演技をする。見透かされているのに気づき小さく笑う。真顔に戻る。
遠く離れた高架から轟音が響く。これはコダマだな。オーガキ市への滞在が長引くにつれ、通過するだけのシンカンセンの音を聴き分けられるようになってきた……。
俺は目を合わせずに答える。
でも……みんな寂しがり屋で恥ずかしがり屋。
自分が選ばれるなんて高望みしてない振りして、ガンガンに期待している。だってそれが次なる創作活動につながるはずだもの……。
それなのに参加作品の99.99995%をスルーなんて馬鹿げている! ふざけている!
市長の目から悔し涙が流れ落ちる。
資料を一枚渡される。それは、市長が投稿した小説を公費でプリントしたものだった。
俺はありきたりの言葉を選ぶ。
歯科医兼業市長が俺の胸にもたれる。
そんな言葉を心で口走りながらオーガキ市の夜が更けようとする……。
……。
……。