758日前 一昼夜眠り続けて目覚める

文字数 884文字

ざばーん、ざばーん……。

波の音が聞こえる。

はっ!

ここはどこだ? 俺はどうしたというのだ?

ようやく目覚めましたね。あなたは二十四時間も眠りつづけました。

あなたは灯台に閉じこめられた私を救うために外壁をよじ登り、足を滑らせ頭から落ちて、そのまま転がり絶壁から日本海の荒波に消えました。たまたま通りかかった小さい方の某国の密漁船に助けられました。そのままお持ち帰りになりかけましたが、幸いにもカニが豊漁であなたの置き場がなかったので、富山湾の浜辺に捨てられました。

自力で抜け出した私の懸命の介抱で命だけはとりとめました。

そこから私はあなたを背負い、立山黒部アルペンルートを越え、なんだかんだで今は伊豆のお籠り宿です。

俺の身にそんなドラマがあったのか……。

ありがとうミンミン。

私を助けに来てくれたあなたにこそ感謝しています。

あなたと魔法少女中島の戦いを灯台に幽閉されながら見ていました。

あなたはまさしく夜の容克(ユンケル)黄帝(ファンディ)だった……。

見つめ合う二人。

おお、すぐ隣の部屋には和モダンなベッドがあるではないか。

だが、俺には早霧という素晴らしいパートナーがいる。

あらためてお願いする。白金台魔道団に加入してくれ。
祖国は私へと更に追っ手を向かわせるでしょう。恐らくは福建(フーチェン)四大天王(スーターテンワン)

それでもよろしいですか?

もちろんだ。俺たち魔道団がミンミンを守る。
五希さん……。分かりました。

私は永遠に発展途上国の大家族の一員です。

思わず抱きしめ合う二人。

こうして某国のくノ一が仲間になった。

おそらくは、戦いに敗れた魔法少女中島と若女将も魔道団に加わるだろう。


俺とミンミンは伊豆の温泉で傷ついた身を休める。信じられないかもしれないが、お籠り宿のクイーンサイズベッドで一晩過ごしても、若い二人には何事もなかった。

その頃、東京都文京区の新築タワーマンションでは。
ふう。ようやく満足できる奴を召喚できたか。

……よくもプブンバを奪いやがって。

大悪魔トランプリターンよ。

お前の最初の仕事は、我が弟子中里五希を地獄へ導くことだ。

お任せください、ゲヒゲヒヒ……。
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