30日前 鍛錬終了を明日に控える
文字数 1,284文字
じつは吉川の秘密訓練施設は奥飛騨にあり、夜には温泉巡りができた。それでも、鍛錬は厳しいものであった。
彼女は地元の十八歳の女子高生。秘密訓練施設の調理掃除洗濯のバイトをしている。一族が三代に渡り温泉郷で働いているだけあって、すべてをそつなくこなした。
俺をじっと見つめる忍。
やがて。
施設から去っていく忍……。
早霧というパートナーがいる身で、まさか地元の純朴な女子高生と深い仲になってしまうとは思わなかった。
おかげで夜も充実した日々を送れたけれど。
逆ですよ。
先月ドツボリーナから頂戴したあなたの寿命が倫理委員会に引っかかりましてね、所有者に返還することになりました。しかし、あの婆さんは店をたたんで行方不明。なので、本来の所有者に返してやるかになったのです。
おめでとうございます。あなたの寿命は残り34日に増加しました。
こいつはレベル1023。単純計算で俺31人分だ。しかも有能な部下が何人もいるらしい。
シャチクベルクが徒労感をにじませたまま消える。
吉川も自分の部屋に戻る。
彼女とは一度だけ地酒を飲み過ぎた勢いで深い関係になってしまった。
でも過ちなどなかったように、以後も女でなく師匠として接してくれた。
俺も31歳より18歳のがよかったので、男でなく弟子として接することができた。
そんな日々も今日で終わり。明日に備えて早く寝よう。