２３時間前 奈良公園の戦い
文字数 702文字
鹿たちがたるそうに見守る中、戦いが始まった。
いけー！
おー！
たあ！
いやん
きゃあ
反撃だ！
おらおら
おらおら
うわああ
くっ、人数が二倍だとさすがに押されだしている。このままでは吉城川まで追い込まれそうだ。
背水の陣は避けたいな。若草山に移動して高地で立て直すか？
いや、あそこには古墳がある。古代人の御霊は守ろう。
大将同士の一騎打ちで勝負を決する。
平城京太郎！ 私と勝負しろ！
ボス宇宙人がＵＦＯに乗り最前線を目指す。
こしゃくな！ 尋常に勝負だ。
鹿に乗った平城京太郎も駆けあがる。両者が激突する――
ぎょほー
ボス宇宙人が一撃でやられたぞ。
くそう！ 平城京太郎め、俺が相手だ！
広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！ 広岡ビーム！
ぎゃあああ！
平城京太郎様が倒された……。
しかも京太郎様だけを。鹿は無傷……。
……これからは広岡殿が親方様じゃ！
親方様！
親方様！
……ひひひ、いきなり一万の配下を従えるとは、さすがは広岡君だ。
愚かな平城京太郎よ。一万五千二人にタコ殴りされたくなければ、呪いを解きなさい。
まだまだだ。鹿たちよ、余に力を貸してくれ！
ピョン、ピョン
ピョン、ピョン
しーん
キャン、キャン
キャン、キャン
鹿たちまでもがその若者の配下になり威嚇の鳴き声をあげるとは……。
余の完全敗北だ。
よっしゃ！ 鹿煎餅を買っておいてよかったぜ！
呪いを授かった場所に案内しよう。……しかし覚悟してくれ。
……もしや、その場所は？
ふっ。尼崎ではないぞ。愛知県江南市だ。愛神社『木曽川のほとり』だ。
