１５日前 日暮里決戦
文字数 1,102文字
翌朝繊維街に行くと、広岡とプブンバがまだ戦っていた。
機動隊が遠巻きにしている。
通行妨害だな……。
どちらも傷つき疲弊して、実質のレベルは２０前後か。
ピヨタン、お前の力を見せてみろ。奴らに天槌を喰らわせろ！
じつを言うと、俺は天賦の才で実質的なレベルを計ることがたまにできる。
悪魔使いの俺に呼ばれて、水色の悪魔が姿を現す。
ご主人様、お任せください！
喰らえ、ピピピピピ！
うわああ！
くそお……。
いまだ、容疑者二名を確保しろ！
広岡とプブンバが捕らえられ連行される。
だが俺たちの戦いはここからだ。
二対一の約束だから、私はここで待っている。
五希君、ピヨタン、頑張ってね！
悪霊さん。僕と勝負してください！
うひょひょ。将来楽しみのベビーデーモンちゃんじゃない。
かわいいし、倒したくないし。
ならば降伏するか？
そうするし。
千駄木にまずまずの物件があるから、そこに行くし。
じゃあね。
悪霊が去っていく……。
日暮里での戦いは、こうして幕を閉じた。
お疲れであった。
これで私は満額手に入る。
しかしお前たちは悪霊を倒したわけではないので、魂が増えたりとかは起きない。
温情で日当を一人二万円支払おう。
二万円も！
並みのバイトより割がいい。吉川はいくら手にしたのか、なんて詮索しない。
だが、俺たちの目的は違う。
早霧、ピヨタン、千駄木に行くぞ。悪霊にとどめを刺す。
分かった。私は外から見ているだけだけど、頑張ってね♥
ぴー！
強いだぴー。レベルの差を痛感したぴ……。
こんなところまで追いかけるなんて、恥ずかしくなくね？
私、まじ怒っているし。
もはや土下座しても許してもらえなさそう。
だが、罠にかかったな！
おまわりさん見ましたよね？
こいつは児童虐待の常習犯です。危険な奴ですから一個中隊で捕らえてください。
みんな行くぞ！
おー！
おー！
無駄な抵抗はやめろ！
無駄な抵抗はやめろ！
うひょひょひょひょ……。
悪霊が警官一個中隊に連行されていく。広岡やプブンバと同じ檻で過ごす羽目になろうと自業自得。
俺たちの完全勝利だ！
ご主人様さすがです！ 僕ももっと強くなってみせます！
知力で敵を倒す……。五希君をさらに好きになりそう。
さすがは我が一番弟子。これでお前たちの生存日数は伸びたはず。
懐中時計で確認してみろ。
分かった。……あれ？ あれ、あれ、あれ？
……しまった。奥飛騨に置き忘れた。あれだけ忘れものに注意と言われたのに。
ふふ。探しているのはこれですか？
その声は……。
五希さん……。忘れ物を届けに来たなんて言い訳。ただあなたに会いたかった！
早霧の目前で、忍が俺にしがみつく。
ちなみに、第二ボタンまで外したセーラー服から見える懐中時計の数値は以下のとおりだった。
３６５ＤＡＹＳ
