22時間前 木曽川を越える

文字数 1,209文字

シャチクベルグが関与しているならば、木曽川を越えて岐阜県に入ったピヨタンを連れ戻さねば。
木曽川は長野を源流に岐阜愛知を経て伊勢湾まで続くのね。勉強になった。
余命22時間の私を引きずりまわすのか? クラッシュする気はないが念のため身辺整理をしておきたい。
整理など直前に心ですれば充分だ! だが疲労が重なると目減りするかもしれぬ。若女将は愛神社『木曽川のほとり』に保護してもらうべきか。
僕の推理だとそれは避けるべきだな。シスターすいとぴあは黒幕の一人の気がする。

そしてピヨタンは各務原市の博物館にいるかもしれない。

おお江南くん。君のおかげでストーリーがテンポよく無理やり進んでありがたい。ならば四人で岐阜へと向かおう。
ぴー! 本物の飛燕だぴ! ゼロ戦は試作モデルだぴ!

次は火星探査車(マーズ・エクスプロレーション・ローバー)の実物大模型を見るぴー!


そこの悪魔ちゃん。私は当館の学芸員である『シスターかかみがはら』です。入館料は払われましたか?
もちろんだぴー! 証拠のチケットの半券だぴー
……悪魔ちゃんはおいくつなの?
今年で21歳だぴー。じつは、ご主人様より年上だぴー。
ならば大人ね。悪魔年齢なら成長期目前だとしても、子供料金で入館したのは詐欺行為よ。警察に通報するしかないわね。保護者にも連絡しないとならない。
うわーん、ごめんなさい、ゆるしてください。

保護者はご主人様になりますけど、どちらにも黙っていてください。

だったら主人に呼ばれても顔をださないこと!

分かったわね?

ぐすん、わ、分かりました……
博物館に到着したが、社会見学の児童だらけでピヨタンはどこにもいないぞ。
おかしいな。もしかすると、更なる陰謀が待ち受けているかもしれない。……そう。地球規模のだ。

こうしてはいられない。

あのガキは血相変えて去っていったぞ。コホコホ。そこの社会見学のガキに聞いてみるか。

おい、水色の小さい悪魔を見かけなかったか?

私は遠足の児童ではない。つぼみが開き花の形を為し始めた十四歳だ。
ぎゃあ! 最強天才少女。

いでよピヨタン! 手加減は無用だからね。

しーん
なんだ、現れないんだ。

じゃあ、邪魔者の二人をまず倒す。その後におばさんと再戦だ。

ま、待ちなさい。五希君を倒したらピヨタンは荒れ狂う。あなたは殺されるだけでは済まない。
だから団員たちは団長の専横に耐えていたのだぞ。
……ピヨタンが迷子になったようだ。場内アナウンスをしてもらうから、ちょっと待
死亡激光

死亡激光

どひゃー!
きゃあああ
一撃で片付いた。弱すぎる。


おばさん、とことん勝負しよう。

モグモグ、モグモグ
パンダだ、かわいい。なぜこんなところに……。

あれ、おばさんが消えた。また逃げられた。

他妈的(くそったれ)

(……去ったか。とっさにかぶりものをして助かった。いまのうちに団長と早霧を起こさねば)


貪りあい果てたように、いつまで並んで寝ていやがる。ボカボコ

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