ドン・キホーテを継ぐ者―LIE―(4)

文字数 1,313文字

……。
ここはトクヤマ湖です。味方になってくれるものが隠れています

 トラックから降りたフェロモンミステリアスが言う。俺たちの眼下には広大なダム湖がひろがっていた。

半端な力では、幼女ぽい何かを倒せない

分かっています。四天王が常に一緒に行動していたのは、幼女ぽい何かを牽制するためでもありました。


……ロングヘアーミステリアスツンデレ

三種の神器と呼ばれるキーワードが揃えば、違法だけど合法のふりをしたロリの真似さえも倒せたのです。


もちろん組織はそれを望みません。リーダーの温情ロングヘアーもでした

つまり寝返った君と組んだところで、あとの二人がいないと意味ない……。

ここに三種の神器の所有者がいるのか?

はい。そして私は呼びだせます。


お母さん、ただいま。ユカリが帰ってきたよ!

 フェロモンミステリアスが向かいの山へと叫ぶ。
はーい
……。
おかえりなさい
 二十メートルはありそうな巨大類人猿が現れる。
いつもユカリがお世話になっております。私はキソ三川のひとつであるィヴィ川の奥深くに生息するので、ヴーと呼ばれています

 巨大類人猿に挨拶されたが……なるほどな、これ以上にミステリアスな存在は滅多にいない。しかも全身を覆う白く長い毛。さらにこいつはツンデレなのか?

 それよりもだ。

君の名前はユカリだったのか
はい
 違う。動揺して聞くことを間違えた。
君はUMAの娘だったのか
もともと母は単なる人でした。でも、遠く離れて一人暮らしする私を心配し過ぎて異形と化しました。

……ヤンデレの変種です

(ツンデレでないではないか)


なんであれ君の母親を戦いの場に連れだすわけにはいかない

私は望んでいます
 ヴーが病んだ目で俺を見る。
代わりにあなたはユカリと、ここでひっそりお過ごしください


 

四天王に襲撃されたけどUMAな母親に助けられて、ミステリアスなお姉さんと山奥でスローライフ始めました。ヒダギュー? ホオバミソ? ギフの飯テロが俺を襲う~~

(無理だ。エタるに決まっている)


まだ俺は戦い続ける。だが、幼女ぽい何かを倒すにはツンデレが必要だ。刺殺溶解を仲間にしよう

“ごろにゃ~ん”
(彼女とだったら陸の孤島で二人きり過ごしてもいい)
奴をですか? ここは圏外なので連絡取れません。オーガキ市まで行く必要があります
きれいな子やな~
プ、プー

 待たせていたトラックに乗り、ユカリだけが渋々去っていく。

 俺と巨大類人猿が取り残される。

……あなたは若いですね
 ヴーが病んだ目で俺を見つめる。
娘をもらっていただけないでしょうか
……。(回答によっては握り潰されそうだ。ならば話を逸らせ)


ご主人はどうされましたか?

私が斯様な姿になり去っていきました。ヴヴヴ……
そうでしたか

 どこかで鹿が鳴いている。夫に捨てられた巨大類人猿とのキツすぎる一刻。

 ユカリが戻ってこないまま夕方になってしまった。

月を見ると暴走しますか?
 そんな漫画があった気がする。念のため尋ねる。
はい。端から食い殺したくなります
 巨大なヴーが病んだ眼差しで答える。
本来ならば県境を越えて朝までフクイに潜むのですが、娘が心配で心配で眠れそうもありません。ヴヴヴ……

ユカリを探してきます

 俺は山道を逃げるように駆け下りる。
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