8-3. フィルの苦悩・来襲 ③
文字数 710文字
「捕縛か殲滅か、ですって?」
リアナは鋭く問い返した。まるでそこから〈呼 ばい〉が伝え聞こえてくるとでもいうように、マリウスの腕をつかんでいる。二人はまだ図書室にいて、マリウスへのフィルの報告を聴いていた。
「捕縛が優先するに決まっているわ。こちらには三人もライダーがいて、しかも全員がデーグルモールとの戦闘に慣れているんだから」
「殲滅だ」
マリウスが言う。「ガエネイスの手先を、ニザランの領地に入れることは許さない」
リアナはマリウスの腕をふりまわして声をはった。「フィル! 聞こえる!? 捕縛よ!」
「私の城で王のような顔をして口をきくのは慎んでもらいたいな、竜殺し 〉」
「そこはどこなの!? フィル、いま行くわ!」
「私の話を聞いているのか? このきかん坊が」
「たぶん東の望楼 ね……ちょっと、放してよ!」
「仔ネズミみたいにうろちょろするのはやめろ。いまのおまえは〈ハートレス〉なんだぞ。望楼 に行ってなにができるというんだ!?」
「なんだっていいわよ、ここでぼんやり座ってて、それこそなにができるっていうの? そっちこそ、父親みたいな口をきくのはやめて」
「おまえは・ここに・いるんだ!」
おさえつけられようとする腕からリアナは逃げた。マリウスの動きはイニそっくりだったので、簡単だった。
「そうやってもったいぶって、年寄りの神官みたいにいつまでもぶつぶつ呟いてれば!?」そのまま、リアナは大股に出口に向かっていった。
「わたしになにができるのか、そこで突っ立って見ていることね!」
捨て台詞を吐いて出ていったかつての養い子を、マリウスは口を開けて見送るしかなかった。
リアナは鋭く問い返した。まるでそこから〈
「捕縛が優先するに決まっているわ。こちらには三人もライダーがいて、しかも全員がデーグルモールとの戦闘に慣れているんだから」
「殲滅だ」
マリウスが言う。「ガエネイスの手先を、ニザランの領地に入れることは許さない」
リアナはマリウスの腕をふりまわして声をはった。「フィル! 聞こえる!? 捕縛よ!」
「私の城で王のような顔をして口をきくのは慎んでもらいたいな、
元
竜王」リアナの腕をはずそうと苦労しながら、マリウス。「殲滅だ、〈「そこはどこなの!? フィル、いま行くわ!」
「私の話を聞いているのか? このきかん坊が」
「たぶん東の
「仔ネズミみたいにうろちょろするのはやめろ。いまのおまえは〈ハートレス〉なんだぞ。
「なんだっていいわよ、ここでぼんやり座ってて、それこそなにができるっていうの? そっちこそ、父親みたいな口をきくのはやめて」
「おまえは・ここに・いるんだ!」
おさえつけられようとする腕からリアナは逃げた。マリウスの動きはイニそっくりだったので、簡単だった。
「そうやってもったいぶって、年寄りの神官みたいにいつまでもぶつぶつ呟いてれば!?」そのまま、リアナは大股に出口に向かっていった。
「わたしになにができるのか、そこで突っ立って見ていることね!」
捨て台詞を吐いて出ていったかつての養い子を、マリウスは口を開けて見送るしかなかった。