阮籍3  阮歩兵と酒

文字数 633文字

歩兵校尉(ほへいこうい)、という官職に空きが出た。
そんなに高位の官職ではない。

にも拘らず、阮籍(げんせき)
やけに熱心にこの官職を求めた。

それもそのはず、
歩兵校尉の詰める官舎には、
数百斛もの酒がストックされていたのだ。


阮籍の、酒への探求は
このような勢いだった。


ところで阮籍の家の隣に居酒屋があった。
そこの主人の妻が、また美人。

阮籍と王戎(おうじゅう)は、この婦人に
ちょくちょく酒を注いでもらっていた。

ある時すっかり酔いが回り切った阮籍、
この婦人の側で寝こけてしまう。
しなだれかかってしまったのだろう。

これを見てびっくりしたのは主人である。

え、もしかして俺の妻に
手ェ出そうってえのか!?

色めき立つ主人。
が、阮籍、ガチで目覚めない。

あ、これマジで寝てるだけの奴だ。

誤解と言うかなんというか……。



步兵校尉缺,廚中有貯酒數百斛,阮籍乃求為步兵校尉。
步兵校尉の缺し、廚中に酒數百斛の貯せる有らば、阮籍は乃ち求め步兵校尉と為る。
(任誕5)

阮公鄰家婦有美色,當壚酤酒。阮與王安豐常從婦飲酒,阮醉,便眠其婦側。夫始殊疑之,伺察,終無他意。
阮公が鄰家の婦は美色を有し、當に酒を壚酤す。阮と王安豐は常に婦より酒を飲み、阮は醉うて便ち其の婦が側にて眠る。夫は始め殊に之を疑えど、伺察せば、終には他意無し。
(任誕8)



阮籍と言えば酒! ってイメージだったんですが、この竹林七賢編に入って酒病の化け物を知ってしまったので、阮籍さんの存在が酒というより文学のほうに向かってくれた気がします。詠懐詩はもうちょっとちゃんと読み込みたいところ。
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