武帝2  呉牛月に喘ぐ

文字数 423文字

満奮(まんふん)は風が苦手である。

武帝(ぶてい)の側に侍る際にも、
北側にある瑠璃の天窓が、
きっちり閉まっているのにもかかわらず、
いつ風が吹き込んでくるかわからない、
と怯えていた。

その様子が、武帝さまにとっては
おかしくって仕方ない。
なので、ちょくちょくからかうのだ。

すると満奮は、憮然と言い返すのだ。

()の地方に、水牛がいるでしょう。
 水牛は、太陽が苦手すぎるせいで、
 月が出てさえ喘ぐ有様です。
 臣めも似たようなものです」



滿奮畏風,在晉武帝坐;北窗作琉璃屏,實密似疏,奮有難色。帝笑之。奮荅曰:「臣猶吳牛,見月而喘。」

滿奮は風を畏る。晉の武帝が坐に在らば、北の窗の琉璃の屏にて作れるに、實に密なるを似て疏となし、奮に難ずるの色有り。帝は之を笑う。奮は荅えて曰く:「臣は猶お吳の牛なれば、月を見たれば喘ぐ」と。

(言語20)



滿奮
三国志、魏の武将満寵(まんちょう)の孫。ちなみに皇帝の側に侍る人は散騎常侍、あるいは侍中と言う位にあって、要するにめっちゃ高官である。つーか満奮さん痛風かな?
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