王衍3  娘婿の裴遐1

文字数 810文字

名族、河東裴(かとうはい)氏の一員、裴遐(はいか)
かれは王衍(おうえん)の第四女を娶った。

結婚の三日後、
盛大なお披露目パーティーが開かれる。
当時の名士や琅邪(ろうや)王氏、河東裴氏の
子弟たちも、こぞって参加した。

その中に、郭象(かくしょう)さんがいた。
荘子(そうじ)に注を付けた、けどそれは
向秀(しょうしゅう)のやつをパクったんじゃねーの?
と疑われている、あの郭象さんだ。

ちなみに王衍から
「君の論説の尽きないこと、
 まるで堤防の堰を切ったかのように
 とめどないな!」
と言われている。

そんな郭象さん、裴遐に清談を挑む。
はじめ何度かのやり取りでは、
なかなか思うような結論を出せない。

雄弁家の郭象に対し、やがて裴遐、
おもむろに口を開き、反論。
これが実に精緻な論説。

見ていた人たち、大喝采である。
また王衍も言っている。

「君らも、あまりうかつに
 挑戦するものではないぞ。
 我が婿どのに、コテンパンに
 されてしまうだろうからな!」



裴散騎娶王太尉女。婚後三日,諸婿大會,當時名士,王、裴子弟悉集。郭子玄在坐,挑與裴談。子玄才甚豐贍,始數交未快。郭陳張甚盛,裴徐理前語,理致甚微,四坐咨嗟稱快。王亦以為奇,謂諸人曰:「君輩勿為爾,將受困寡人女婿!」
裴散騎は王太尉が女を娶る。婚じて三日の後、諸婿は大いに會し、當時の名士や王、裴の子弟は悉く集まる。郭子玄は坐に在り、裴に談を挑む。子玄は才は甚だ豐贍なれど、始め數交にては未だ快さず。郭の陳張は甚だ盛んなれば、裴は徐ろに理を前に語り、理の致れること甚だ微にして、四坐は咨嗟し快を稱う。王は亦た以て奇と為し、諸人に謂うて曰く:「君が輩は爾れるを為す勿れ、將に寡人の女婿に困を受けん!」と。
(文學19)

王太尉云:「郭子玄語議如懸河寫水,注而不竭。」
王太尉は云えらく:「郭子玄が語議は懸河の水の寫りたるが如し、注げど竭えず」と。
(賞譽32)



裴遐
清談を巧みとしていたが司馬越(しばえつ)の息子の司馬毗(しばひ)に殺された、という情報がある。けどそれだけしか書かれておらず、どういう理由で殺されたのかは謎。
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