曹叡2  高所の恐怖1

文字数 469文字

韋誕(いたん)、と言う優れた書道家がいた。

明帝(めいてい)さま、彼の字が大好き。
そこで新たに宮殿を建てた時、
宮殿の名前をあらわす看板を、
韋誕先生に書いてもらおうと思った。

ところがどこで工程を間違えたか、
うっかり看板が先に
宮殿に掲げられてしまった。

看板の高さは、地上から約 38m。
つまり、ビル約 11 階分の高さ。

明帝さまが仰る。

「韋誕すまん、
 梯子であそこまでのぼって、
 看板の字、書いてきてくれ」

鬼ですか。

この無茶振りに、
どうにかして応えた韋誕先生。

終わった頃には、あまりの恐怖に
髪の毛が真っ白になってた。

なので子孫たちに言う。

「字が上手くてもろくな目に遭わん。
 書道などやめておけ、やめておけ」



韋仲將能書。魏明帝起殿,欲安榜,使仲將登梯題之。既下,頭鬢皓然,因敕兒孫:「勿復學書。」

韋仲將は書を能くす。魏の明帝の殿を起つるに、榜を安んぜんと欲し、仲將をして梯に登らしめ之を題せしむ。既にして下れば、頭鬢は皓然たれば、因りて兒や孫に敕すらく:「復た書を學ぶこと勿れ」と。

(巧蓺3)


韋誕
このエピソードくらいしか残ってない。為政者としてはそれなりに出世してる。
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