郗愔   精進とは

文字数 672文字

郗鑒(ちかん)の子、郗超(ちちょう)の父。傑物に挟まれて、
ご本人はパッとしないひと、郗愔(ちいん)さん。
桓温幕僚ではないですが、息子のケツに。

さて郗愔さんだが、熱心な道教の信者だ。
めちゃくちゃ修行に精を出したそーである。

にも、かかわらず。
オールタイムぽんぽんペイン。
どんな医者に見せても、埒が明かない。

むむう、このぽんぽん、いかなることぞ。
さんざん手を尽くした郗愔さん、
ついには于法開(うほうかい)の名を入手する。
高名は高名、しかしかれは仏僧。
道教の徒としては、
いささか頼るのをはばかられた。

だがぽんぽんの猛威は止まらない。
もはや教義がどうこう、の問題ではない。

「修行のしすぎです。
 アホですか?」

診察を終えた于法開さん、
そう言うと薬湯を郗愔に渡す。
素直に薬湯を飲む郗愔さん、
間もなく胃の中のものを
ゲロっと吐き出した。

そこには、拳大の紙の塊がある。
開いてみれば、それは郗愔さんが書いた
道教の経文ではないか!

精進 #とは



郗愔信道甚精勤,常患腹內惡,諸醫不可療。聞于法開有名,往迎之。既來,便脈云:「君侯所患,正是精進太過所致耳。」合一劑湯與之。一服,即大下,去數段許紙如拳大;剖看,乃先所服符也。

郗愔の道を信ずること甚だ精勤なり。常に腹を患い內に惡しかれど、諸醫に療したる可からず。于法開の名有るを聞き、往きて之を迎う。既に來たらば、便ち脈して云えらく:「君侯が患いたる所、正に是れ精進の太いに過ぎたるを致したる所のみ」と。合せて一なる劑湯を之に與う。一服せるに即ち大いに下し、數段許りの拳が大の如き紙を去る。剖けて看らば、乃ち先なる所にて服したる符なり。

(術解10)



そりゃ腹も痛くなるわ……
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