簡文16 友との懸隔
文字数 475文字
この時許詢が持ち出したテーマは、
「親と君主では、
どちらを大事にすべきでしょうか」
というものだった。
簡文さまの親は、
そして簡文さまの君主は、
代々兄、
いま、簡文さまは
兄の血筋の者たちを抑え込み、
登極するに至っている。
これは、果たして「孝」に則ると
言えるのだろうか?
このようなテーマ、
軽々に簡文さまが扱える筈もない。
黙り込んでしまう。
やがて許詢が去った後、
思わず簡文さまは漏らしてしまう。
「許詢の奴、
ことさらにそんなテーマを
持ち出さんでもよかろうに」
簡文與許玄度共語。許云:「舉君親、以為難。」簡文便不復答。許去後而言曰:「玄度故可不至於此。」
簡文と許玄度は共に語らう。許は云えらく「君と親とを舉げ、以て難を為すべし」と。簡文は便ち復た答えず。許の去りて後に言りて曰く「玄度は故より此れに至らざるべし」と。
(輕詆18)
と言う解釈で行きたいけれども、
どうなんでしょうね。
仲の良かった二人が後日、みたいなのは、
世説新語的にも好物かな、
とは思うんだけれども。