郗超1  桓温の参謀

文字数 508文字

桓温(かんおん)さまが政敵を
次々と処断していた頃の話である。

桓温さまの謀議に深く関与、
誰を殺すかについて
大きな発言力を得ていた、郗超(ちちょう)

桓温さまの意向を知るためにも、
郗超とはよく語っておかねばならない。
そこで謝安(しゃあん)王坦之(おうたんし)
郗超に会いに行った。

だが夕暮れ近くになっても、
郗超との会見が叶わない。
ただただ、待ちぼうけを食らう。

そろそろ諦めるべきではないか、
王坦之が言うと、謝安はこう返す。

「我らが天命を全うするためだぞ。
 そのためにも踏ん張れんのか?」



謝太傅與王文度共詣郗超,日旰未得前,王便欲去。謝曰:「不能為性命忍俄頃?」

謝太傅と王文度は共に郗超を詣で、日の旰るるに未だ前せるを得ざれば、王は便ち去らんと欲す。謝は曰く:「性命が為に俄頃を忍ぶ能わざらんか?」と。

(雅量30)



桓温さまの暴虐を前にしてパニクる王坦之とあくまで平静な謝安との対照、と言うネタがここにも来ている感じですね。と言うかあれと同時に紹介できた方がわかりやすいエピソードだったよなぁ。世説新語にはこう言う、いくつかの条を組み合わせることによって面白みが増すものが結構あって大変。だからこそ面白い、と言うのはありますが、と言って現代人に暗誦はちょっと違いますしね。
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