謝安2  河漢に至らず

文字数 382文字

謝安(しゃあん)さまは言う。

「聖人や賢人と言っても、
 それほど凡人から
 かけ離れた存在ではないのだよ」

この発言、子らや姪から大ブーイング。

なので謝安さま、すねて言う。

「あぁ、郗超(ちちょう)がこれを聞いていれば、
 天の川みたいに
 えらい離れたものでもないでしょうに、
 と言ってくれると思うのだがなあ」



謝公云:「賢聖去人、其間亦邇。」子姪未之許。公嘆曰:「若郗超聞此、語必不至河漢。」

謝公は云えらく「賢聖の人を去れるに、其の間は亦た邇し」と。子姪は未だ之を許さず。公は嘆じて曰く「若し郗超の此を聞けるに、必ずや未だに河漢には至らざるなりと語らん」と。

(言語75)



謝安も郗超も「賢人」と呼ばれるに値する人物なわけであり、まぁそりゃ子供たちからはブーイングだわな、とは思わないでもない。面倒くさい話だけど、聖人賢人って「自分が凡俗と何ら変わらない」と思っているからこそ、聖人賢人なんですよねえ。
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