謝道韞2 俊才は謝氏に在り

文字数 683文字

王凝之(おうぎょうし)の元に嫁いだ、
謝安(しゃあん)さまの姪、謝道韞(しゃどううん)
だが、夫のことを
思いっきり軽んじていた。

ある日謝家に里帰りすると、
もうあからさまに不機嫌である。

その様子を見て、謝安さま、
慰めるつもりで声を掛けた。

「王くんは、あの王羲之(おうぎし)様の息子だ。
 その素質だって悪くはあるまい。
 何をそう恨めしくしているのだ?」

すると謝道韞、きっと答える。

「素質ですって?
 そうしたら我が家門には
 謝万(しゃまん)様が、謝尚(しゃしょう)様がおります。

 それに謝韶(しゃしょう)謝朗(しゃろう)謝玄(しゃげん)謝淵(しゃえん)
 みな優れておりますわ。

 ああもう、まさかこの世に、
 王さまのように
 愚鈍な方がいらっしゃるなんて!」



王凝之謝夫人既往王氏,大薄凝之。既還謝家,意大不說。太傅慰釋之曰:「王郎,逸少之子,人材亦不惡,汝何以恨乃爾?」答曰:「一門叔父,則有阿大、中郎。群從兄弟,則有封、胡、遏、末。不意天壤之中,乃有王郎!」

王凝之が夫人の謝は既にして王氏に往きたれど、大いに凝之を薄らぐ。既に謝家に還らば、意は大いに說ばしからず。太傅は之を慰釋して曰く:「王郎、逸少の子なれば、人材は亦た惡しからさらん。汝は何をか以て乃ち爾れを恨みたるか?」と。答えて曰く:「一門に叔父、則ち阿大、中郎有り。群從せる兄弟、則ち封、胡、遏、末有り。意わざりき、天壤の中に、乃ち王郎有りたるを!」と。

(賢媛26)



「我が夫」と言わない道韞さんマジ怖ええ。

箋疏見ると原文に上がってる字たちのどれが誰かって比定に血道を上げていたが、その中に一生懸命謝琰(しゃえん)を推そうとしている人がいて笑った。そうだよね、謝安さまの嫡男だもんね……俊英に混ぜたいよね……

でもなお兄さん、どう頑張っても無理筋やぜ……。
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