桓玄3  初雪

文字数 456文字

桓玄(かんげん)殷仲堪(いんちゅうかん)を倒すと、
荊州(けいしゅう)江州(こうしゅう)の二州、
更に都督荊司雍秦梁益寧(しようしんりょうえきねい)七州軍事府、
後將軍(こうしょうぐん)府、南郡(なんぐん)国の、
計五つの役所の総督を務める事となった。

この時雪が降り始めると、
この五箇所から同時に
初雪を慶賀する挨拶の木簡が届く。

「ん? 五ついっぺんに?」

それを受け取った桓玄、
しかしまるで慌てない。

それぞれの木簡の末尾に
速やかに流麗な返答を載せた。

そしてそれらの文章は、
それぞれの役所の
グレードに即したものだった。



桓玄初并西夏,領荊、江二州,二府一國。于時始雪,五處俱賀,五版並入。玄在聽事上,版至即答。版後皆粲然成章,不相揉雜。

桓玄の初に西夏を并せるに、荊、江二州、二府、一國を領す。時にして始めて雪ふり、五處は俱に賀し、五版並べて入る。玄は在りて上りたる事を聽き、版の至るに即答う。版じたる後に皆な粲然として章成り、相い揉雜せず。
(文學103)



桓玄の文学の才能を示す一編。

しかし、都督府と將軍府なんて一まとめにしちゃいそうなもんですけどねえ。「将軍」号が軍役職じゃなくてただの肩書きに変わりつつあった、と言うのがほの伺えますな。
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