殷仲堪2 賢賢易色
文字数 649文字
殷仲堪は妾のところで昼寝していた。
昼寝(意味深)していた。
なので部下たち、桓玄を押しとどめて
いまはお会いできません、と突っぱねる。
後日桓玄が、
そのことを殷仲堪に漏らした。
昼寝なんぞで俺のこと袖にするたぁ
いい度胸じゃねえか、とか、
そんな感じだろうか。その意図は、
さすがにちょっと読み取り切れない。
すると殷仲堪は言う。
「初めから眠ってはおらんかったぞ。
だいたい、きみが来たと知っておれば、
それこそ論語の賢賢易色だ。
賢人と会う喜びは、
色ごとの喜びにも劣りはせん」
桓玄詣殷荊州,殷在妾房晝眠,左右辭不之通。桓後言及此事,殷云:「初不眠,縱有此,豈不以『賢賢易色』也。」
桓玄の殷荊州を詣でるに、殷は妾の房に在て晝に眠り、左右は辭して之を通さず。桓は後に此の事に及びて言わば、殷は云えらく:「初にも眠らず、縱いて此く有り、豈に以て賢を賢とし色に易えんとせざるや?」と。
(言語103)
論語学而第一。
賢賢易色、事父母能竭其力、事君能致其身、與朋友交言而有信、雖曰未學、吾必謂之學矣。
賢人を尊び慕って好色の心に替え、父母に仕えてはあらん限りの力を尽くし、君に仕えては一身を捧げ、朋友と交わって言葉に偽りがなければ、他人がまだ学問した者ではないといっても、私はこの人をすでに学問した人だと言う。
殷仲堪に対して当て込んでみれば「色ごとなんぞより賢人に会え」だし、つうかもう手下への責任転嫁が甚だしくて、お前さぁ……という感じになってくる。要は殷仲堪さんの指示の徹底不足ですよね?