諸葛亮1 管葛の起不起

文字数 445文字

東晋(とうしん)の時代のこと。
殷浩(いんこう)って言う、ちょう凄い人がいた。
だが彼は、十年近くもの間、墓守りとして
隠棲しており、なかなか表舞台に
上がってこない。

人々は彼を管仲(かんちゅう)諸葛亮(しょかつりょう)レベルの
人材である、と見做していた。

なので彼が出仕するかどうかが、
そのまま東晋の今後も占うだろう、
と噂していた。



殷淵源在墓所幾十年。于時朝野以擬管、葛,起不起,以卜江左興亡。

殷淵源の墓所に在すに幾十年なり。時の朝野は以て管、葛の起つや起たざるやに擬え、以て江左の興亡を卜う。

(賞譽99)



殷浩
東晋中盤の大英雄、桓温(かんおん)のライバルとして名前が挙がる。結果としては北伐に失敗したりと散々だが、むしろ桓温がどう考えてもいろいろ異常ですしねー。

管仲
春秋時代の斉国の宰相。この人の主君は「春秋五覇」と呼ばれる当代ナンバーワンの君主、桓公。名君の隣には名宰相あり、の興りみたいな人。このネタには、さらに諸葛亮が自らを管仲に比していた、と言う正史の記述が含まれている。ついでに言うと「天子でなく覇者の下の宰相」というやや皮肉っぽい含意も拾えるだろうか。
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