元帝7  皇子誕生

文字数 528文字

元帝(げんてい)に皇子が生まれた!
こいつはめでたい、
元帝、臣下に振る舞い物をする。

すると臣下の一人、殷羨(いんせん)が言う。

「皇子のご生誕は、天下の皆が等しく
 慶賀するに値する出来事です。

 で、あるとはいえ。

 臣めにはまるで功が御座いませんのに、
 随分と大盤振る舞いをなさいますね」

皮肉である。
お前そんなことに
資源使ってる場合じゃねえだろ、
そう棘をブッ刺してきてるのだ。

殷羨の言葉を受け、元帝は笑う。

「はは!
 殷羨、さすがにこのことばかりは、
 卿に功などあるものかよ」

あっダメだ通じてない。



元帝皇子生,普賜群臣。殷洪喬謝曰:「皇子誕育,普天同慶。臣無勳焉,而猥頒厚賚。」中宗笑曰:「此事豈可使卿有勳邪?」

元帝に皇子の生まるに、普く群臣に賜う。殷洪喬は謝して曰く:「皇子の誕まれ育ちたるに、普く天も慶を同じうす。臣の勳の無きに、而るに猥りに厚賚の頒たるか」と。中宗は笑いて曰く:「此の事に豈に卿に勳有らしむるべけんや?」と。

(排調11)



殷羨
蘇峻(そしゅん)の乱のときに陶侃(とうかん)の副官だった人らしい。そんな人が皇子誕生に際して中央にいるの? まぁ良く分からんけど、そんなもんなのか、と飲み込んでおきましょう。つーか皇帝の慶事に関することで平然と「猥頒」って使ってくるとか、どんな肝っ玉だこのオッサン。
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