石崇6 甕牖縄枢
文字数 869文字
常に二人して語らい合っていた。
石崇、壁にかかっていた
「おれが彼らと一緒に
孔子に学んだとしたら、
かれらにも引けを
取らなかっただろうにな!」
ずいぶんな自信である。
それに対して王敦は言う。
「他の人が何と言うかは知らんが、
まぁ、
やや近いんじゃないか?」
顔回や原憲は清貧をもって知られていた。
中でも顔回は孔子の一番弟子として著名。
また、もう一人の原憲は、
王敦が挙げた子貢の銭ゲバっぷりを
手酷く糾弾し、やり込めた人物である。
なかなか王敦さん、
えぐいチョイスをなさる。
「お前じゃ顔回になんざ到底及ばないし、
原憲を挙げるくらいなら
むしろ原憲にやり込められた
子貢のが合ってんだろうよ。
銭ゲバなとこもそっくりだし」
ってなわけである。
なので石崇、かっと来る。
「士大夫たるもの、身も名声も
等しく高くあるべきだ!
どうして割れたカメを
窓代わりにあてがうような
貧乏暮らしをせにゃならん!」
いやいや、言い出しっぺアンタですよ……。
石崇每與王敦入學戲,見顏、原象而歎曰:「若與同升孔堂,去人何必有間!」王曰:「不知餘人云何?子貢去卿差近。」石正色云:「士當令身名俱泰,何至以甕牖語人!」
石崇は每に王敦と學に入りて戲る。顏、原の象を見て歎じて曰く:「若し與に同じく孔堂に升らば、去ましき人とに何ぞ必ずしも間有らんや!」と。王は曰く:「餘人の何を云えるは知らざれど、子貢の卿より去れたること差や近からん」と。石は色を正して云えらく:「士は當に身名を俱に泰らかしむべし、何に至りてか牖甕を以て人に語りたらんか!」と。
(汰侈10)
原憲の暮らしぶりの話。貧乏、というより金銭や豪華な家に興味がなかったから、割れたカメの口の部分を壁にはめ込み、窓の代わりにしたんだと言う。そこから「