王衍5  娘婿の裴遐2

文字数 692文字

周馥(しゅうふく)という人のところに
遊びに出掛けた、裴遐(はいか)
周馥、歓迎の宴会を開いた。

そのなかで裴遐、囲碁に夢中になる。
やがて周馥の副官が、
裴遐に酌をしようとした。

裴遐、囲碁に夢中になり、気付かない。
このおれを無視すんのか!
副官どの、怒り、裴遐を
席から引きずり下ろし、地面に落とす!

えっまって?

突然の暴挙に、しかし裴遐、
特に変わったこともない。
再び席につき、囲碁を再開。

で、このシーン。
王衍(おうえん)も目撃していた。

後に王衍、裴遐にたずねた。

「あの時、なぜ怒らずにおれたのだ?」

すると裴遐、答える。

「いや、勝負にばかり
 気を取られていまして」



裴遐在周馥所,馥設主人。遐與人圍棋,馥司馬行酒。遐正戲,不時為飲。司馬恚,因曳遐墜地。遐還坐,舉止如常,顏色不變,復戲如故。王夷甫問遐「當時何得顏色不異?」答曰:「直是闇當故耳。」

裴遐は周馥が所に在り、馥は主人を設く。遐は人と圍棋し、馥が司馬は行きて酒す。遐は正に戲れ、時に飲を為さず。司馬は恚り、因りて遐を曳き地に墜とす。遐は坐に還じ、舉止は常の如し、顏色は變ぜず、復た故の如く戲る。王夷甫は遐に問うらく「當時にては何ぞ顏色の異ならざるを得たりや?」と。答えて曰く:「直だ是れ當に闇たる故のみ」と。

(雅量9)



なかなかに鷹揚というか、
茫洋な人だったのかもですねー。

周馥
桓温(かんおん)さまが蜀討伐に参加した時に従軍していた人……は、同姓同名の赤の他人のようだ。こちらの周馥さんはあの周顗(しゅうぎ)さんの親族とのことである。八王の乱真っただ中を生き抜いた人。けれども司馬越(しばえつ)と対立し敗北、そして司馬睿(しばえい)の手により捕まり、獄中で病死した。清廉なるこの人を司馬越はことのほか苦手としていたそーである。
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