石崇3 贅沢モノの狂宴1
文字数 563文字
王愷は乾かした米で燃やして
釜を温め、米を炊いた。
石崇はろうそくを何本も立て、
釜を温め、米を炊いた。
どちらも非効率の極みである。
王愷は四十里、
十六キロメートルほどの長さの
つややかな紫の布地を裏面にあつらえた
カーテンを作った。
そしたら石崇は、何とシルクで
二十キロメートルほどの
カーテンを作った。
また石崇、当時は贅沢品の極みであった
山椒をふんだんに壁に塗り込んだ。
すると王愷も赤石脂、
鉱物由来の生薬で、
あの五石散の原料にもなっている薬物を
ふんだんに塗り込む真似に出た。
お前ら……。
王君夫以(米台)糒澳釜,石季倫用蠟燭作炊。君夫作紫絲布步障碧綾裹四十里,石崇作錦步障五十里以敵之。石以椒為泥,王以赤石脂泥壁。
王君夫は(米台)糒を以て釜を澳め、石季倫は蠟燭を用いて炊を作す。君夫は紫絲の布を作して碧綾裹にて步障とせること四十里、石崇は錦を作して步障とせること五十里にして以て之に敵す。石は椒を以て泥と為し、王は赤石脂を以て泥壁とす。
(汰侈4)
石崇、王愷
世説新語の