孔坦   梁国楊氏の少年

文字数 543文字

(りょう)に住まう(よう)氏のもとに生まれた子が、
めっちゃ賢かった。

会稽(かいけい)孔坦(こうたん)、所用があって
梁にまで出向く。

そこで楊氏を訪問したのだが、
家主は不在。

家には当時九歳の、例の少年がいる。
孔坦がしばし待とうとしたところで、
少年は果物の入った篭を持ってきた。

そこには()梅がある。
おっ、これはこれは。

ふふ、と孔坦、少年をからかってみた。

「この梅はそなたの家のものなのかね?」

「楊」字が被っているから、
あなたの家のものなのか、という話だ。

すると楊少年、さらっと答える。

「はて、その論法で申し上げますと、
 ()雀がみなあなた様の
 家の鳥となりますね?
 孔雀が人に飼われるなど、
 ついぞ聞いたことがございません」



梁國楊氏子,九歲,甚聰惠。孔君平詣其父,父不在,乃呼兒出,為設果。果有楊梅,孔指以示兒曰:「此是君家果。」兒應聲答曰:「未聞孔雀是夫子家禽。」

梁國の楊氏が子は九歲にして甚だ聰惠なり。孔君平は其の父を詣づ。父の在らざれば、乃ち兒を呼びて出づらば、為に果を設く。果には楊梅有りて、孔は指して以て兒に示して曰く:「此れや是れ、君が家の果なるか?」と。兒は聲に應じ答えて曰く:「未だ聞かず、孔雀の是れ夫子の家禽たるを」と。

(言語43)



孔坦
会稽孔氏。いわゆる孔子の子孫と呼ばれる人たち。いや魯にいろよ孔子の子孫なら。
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